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E.FORUM2020 第1~8回 連続研究会「学校教育におけるICT活用」
2021.03.18
- 一般の皆様へ
京都大学大学院教育学研究科E.FORUMでは、10月から12月にかけて連続研究会「学校教育におけるICT活用」をオンライン(Zoomによる同時配信)で開催しました。各回の日程、登壇者とテーマ、参加者のご感想、参加者数は下記の通りです。8回の研修に、延べ720名の方がご参加くださいました。登壇者の皆さま、参加者の皆さまに、心より感謝申し上げます。
- 第1回(10月16日・金):久富望助教「オンライン授業の初歩の初歩/情報活用能力の体系表例」
【参加者のご感想】「久富先生の『このあたり』『ここらへん』の話を聞いて,この感覚がICTを使う上での汎用的な力につながるのかなと思いました。市町村ごとに使われる端末やアプリが違う中で,『これじゃなきゃできない』という感覚では,ICTを使いこなせないと思います。この感覚を,幅広い年代の教員が身に付けるべきだと思います。そして,この感覚は,ICTだけではなく,他の教育場面でも必要だと感じました。それぞれに取り組まれている内容を知ることによって、学びが深まりました。」「対面型とONLINEともに、相手の立場を尊重することに違いはないと感じた。ZOOM ミーティングは、継続することで、生徒や学生が慣れ、先生も緩やかになれていくことが確認できた。継続するONLINEでは、90分がよいと思いました。西岡先生もお話していらしたように、もう少しというところで止めることで、また前に進めるように思います。」(参加者112名)
- 第2回(10月23日・金):久富望助教「LMSの初歩の初歩~何のためにあるのか?/教育データ利活用をめぐる議論~LMSの次の未来」
【参加者のご感想】「LMSについてよくわかっていなかったので、「初歩の初歩」として、もっておくべきマインドや、大学での具体的活用例(どのように支援をされていたのかについてもとっても具体的に!)教えていただき大変有難かったです。クラウド上でのデータ活用に対してうっすらとした抵抗感を抱いていましたが、ポリシーに関する無知から抱いているところが大きいのではと気づきました。」「LMSの‟Management”と『管理』の違いを改めて認識しました。まだ始まったばかりですが、LMSが、少なくとも自分の開講している授業の『管理』というレベルを超えて、Managementという設計・開発を加えた管理にまで発展する可能性を秘めた場所であることを確認しました。具体的には、1コースの授業のLMSの中でさえも、意図的な設計を加え、系統的な授業管理、そこで学生の学びの深化を計るという縦横な側面が整理。管理できる場所であることを学びました。」(参加者88名)
- 第3回(10月30日・金):京都教育大学附属桃山小学校教諭 樋口万太郎先生「オンライン授業からみえてきたICTを活用した学びを深める授業とは」
【参加者のご感想】「小学生のICT活用力が素晴らしい。習うより慣れろだと実感したと同時にそれを受け取る高校での教育についても考える機会になった。」「全国のICT・GIGAスクールに向けた導入状況が、何となくわかりました。・・・・・・樋口先生の様々な引き出しと、それを組み合わせた『やまなし』は感銘を受けました。参考にさせていただきます。」「ICTのメリットを生かした授業の工夫、学びを深めるためには、ゴール設定とそこに向かうための活動、その過程でつながりや個の学びの保障を、ICTを活用して仕組むなど、授業の面白さを再認識した。」(参加者116名)
- 第4回(10月31日・土):熊本大学教育学部附属中学校教諭 三浦寿史先生・小田修平先生「休校期間中の熊本大学教育学部附属中学校での取り組み」、高松市総合教育センター指導主事 河田祥司先生「頭のど真ん中にある判断基準とは何か」
【参加者のご感想】「具体的な授業のイメージがよくわかりました。また、動画がとてもわかりやすかったです。オンライン授業に向けて、どのような準備や段階を経る必要があるかがよくわかりました。教育委員会の立場からのお話で、市立学校のハード面を整える難しさがどこにあるかがよくわかりました。」「ICTが授業の中でどのように豊かに生かせるのかを、条件の整ったところでの遠隔授業の実践から知ることができたのが収穫でした。」「熊本大学附属中の実践は、真似は厳しいかもですが、参考になりました。河田先生のお話は、センターが推進してくださっている様子がよくわかり、ぜひ、共に推進したい気持ちになりました。」(参加者87名)
- 第5回(11月13日・金):京都大学大学院情報学研究科博士後期課程 黒宮寛之氏「デジタル教材配信システム Book Roll の紹介」、京都市立西京高等学校附属中学校主幹教諭 宮部剛先生「Book Roll を活用した授業実践の流れ」
【参加者のご感想】「Book Rollはログが残る点が良く、何をログとして残すかについても、現場のニーズに対応できるところが魅力に感じました。特に休校期間中は、生徒の実態把握が難しく、家庭や本人の自律的な学習に頼るとことが大きいので、生徒の学習への向き合い方に関する声かけや支援が具体的にできるようになると思います。また、生徒自身が学習を振り返る時に、自己診断的な活用の可能性も感じました。」「Book Rollの利用の実際が紹介されたことと、遠隔授業が教室でどのように活用されているのかを学びました。特に後者について、配信されたオンデマンド授業を生徒の判断に任せて時間割を作らせているという点に感銘を受けました。まさに遠隔授業を生徒1人一人の学びに活かす方向だと思われました。」(参加者73名)
- 第6回(11月21日・土):日本デジタル教科書学会副会長 片山敏郎先生「GIGA までの歩みとこれからを考える――教育のデジタル・トランスフォーメーションの可能性」
【参加者のご感想】「学術的で難しいかと考えていたが、ICTの使用の現状について整理されていて非常にわかりやすかった。ICTが広く使われている海外の実践に目を向けて、授業の方法自体を変えていく必要があると思った。生徒が情報をまとめたり、表現したりという活動にICTを使用すると、やはりタブレットでは物足りなくなる。また、教科書はシンプルになるべきで、一人一台PCが現実になれば、生徒は資料集やそれ以上の情報に、PCから触れていくことができるようになる。現在生徒の通学バッグの重さは異常であり、早く変化するべきだと思う。私はしんどい学校に勤務しているが、生徒は、PCを使うととても楽しい、紙よりも表現しやすいという。楽しい機器であることを考え、教員も楽しくPCスキルを上げていくべきなのだろう。」「片山先生による基調講演が、大きな学びにつながりました。・・・・・・今回はブレークアウトセッションでの話し合いを共有スライドでまとめ、さらに全員が共有しながらコメンテイターがコメントし、リアルタイムでまとめていただけたので、学びが深まりました。内容もさることながら、手法と効果も体験的に学ぶことができ、収穫が大きかったです。」(参加者61名)
- 第7回(12月4日・金):大阪大谷大学教育学部教授 開沼太郎先生「教育の情報化政策の動向と学校における ICT 活用」
【参加者のご感想】「行政の考え方がよく分かった。やはり、現場との格差や温度差を感じる場面はあるが、互いに歩み寄る必要性を更に感じました。」「全体を通してとても深い学びばかりでしたが、ICT環境の整備は、ハード、ソフト、ヒューマンの3分類に分けるとわかりやすいことが特に印象的でした。」「国が、一先ず子ども向けの端末や校内のLANの整備に力を入れたことがよくわかりました。今回導入した端末等のメインテナンスや買い替え・更新、学校外との通信速度、先生の指導用端末などの話が、後に続くことを期待しています。」(参加者76名)
- 第8回(12月18日・金):京都教育大学附属桃山小学校教諭 長野健吉先生「パフォーマンス評価における ICT の活用」
【参加者のご感想】「ICT活用の最先端の授業の様子を垣間見て、非常に衝撃を受けました。また、パフォーマンス課題、特に、観点の見出し方(協働、振り返りの過程)についてとても勉強になりました。」「学習過程においてICT ・・・・・・を活用している実践をお聞きすることができ、大変勉強になりました。実際、学校現場にタブレットが導入されてきて、どのように活かしていけばいいのか悩んでいるのが現状です。具体的な実践例であったため、とても勉強になりました。」「子どもたちが共同編集やチャットを活用しながら学びを続けている様子を初めて見られたので、自分の想像が確信に変わりました。」(参加者107名)