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滋賀県立膳所高等学校設定教科「探究」一斉講義

2021.03.24

  • 大学院受験生・研究者の方へ
  • 一般の皆様へ

 2020年8月3日(月)、滋賀県立膳所高等学校2年生1〜3組の生徒を対象とした「探究」講演会に講演者として登壇しました。膳所高等学校では、教科「探究」が設置されており、1年生からグループ研究やポスター発表を行い、2年生では口頭発表や論文作成を通して、批判的な考え方や問題解決能力を伸ばす取り組みが行われています。今回の講演は、プレゼンのためのスキル伝授から、「問い」の立て方、問題解決のヒントの見つけ方など、グループでの研究課題に関する幅広いテーマを対象としていました。

 講義は1回50分×3クラスに分けて、ウェブカメラを通して行われました。前半では、講演者の研究概要と研究発表の演示を行ないました。後半では、研究課題テーマの選定、批判的な考え方と研究スライドの作成や発表に対するアドバイスを中心に講演しました。講義後には質疑応答セッションがあり、多くの質問やコメントがありました。参加者からは「とても面白く、学ぶことの多かった1時間でした」といった感想が寄せられました。

8月3日(月)1時間目 2年3組
(#01)
この度はお時間をとってもらい、分かりやすく探究の発表の仕方を教えて下さりありがとうございました。
探究のテーマの設定に関してなのですが、初めに自分の興味のある分野かつまだ深く調べられていないものにするのが良いというのは初めて聞いたのでとても参考になりました。
また、パワーポイントの配色やデザイン、画像など視覚的なことまでこだわっていらっしゃったかと思うと、細部まで意識することで聞き手により伝わりやすいのだなと思いました。
(#02)
探究発表を聞いて、どのようなことを研究されているのかやどのような方法によって出た結果なのかということがとてもわかりやすくて、発表の留意点でも仰っていたように、発表する相手に合わせて説明の仕方や内容を工夫されていることがよく分かりました。また、内容は沢山あるのにスライドには大切なことのみが書かれていて、話を聞きながら、自分の中で内容を整理しながら聞くことができました。一方的に話を聞いているのではなくて、会話をしているような発表だったので、発表に引き込まれていく感じがあり、発表時間があっという間に終わったように感じたことも工夫されていることなのだということがよくわかりました。自分が探究発表する時も聞いている人と会話しているような発表ができるように今回聞いた留意点を忘れないようにしたいです。
(#03)
今回して下さった講義の中で一番驚いたのは、話すこととスライドに乗せる内容の詳しさが全然違ったことです。私はスライドを作るとき、出来るだけ簡潔に自分の話すことをまとめようとしていたけど、実際の講義ではスライド内容は抽象的に、話すことは詳しく、分かりやすく、面白さも付け足してなさっていたことが大きな発見でした。スライドに使う色を暖色系か寒色系かに統一したり、相手に語りかけるように話したり、これからの探究発表にダイレクトに役立つ情報ばかりで、為になりました!
(#04)
どこまでの人やものに対して道徳的に対応できるのか、というテーマはとても興味深かったです。また、その結果と保守派、リベラル派の人との関係性も納得しました。面白かったです。
また、文字だけでないスライドが見やすかったです。
自分の発表にも取り入れていきたいと思います。ありがとうございました。
(#05)
今回の演示をきいて、一見漢字がたくさんで難しそうだと思いましたが、分かりやすい言葉に変換しながら説明して下さったのである程度理解することができてもっと道徳性について知りたいと感じました。またテーマ設定や話す時の留意点を教えて下さったなかで、テーマについての研究結果が何に繋がるのか先まで考える、というのがなるほどと思って、自分の探求テーマを見直そうと思いました。スライドの作り方もすごく参考になりました。ありがとうございました。

8月3日(月)2時間目 2年2組
(#06)
社会心理学的視点から現代の社会に存在する価値観や文化の違いを紐解こうとしていると知り、その視点の面白さを感じた。道徳的配慮の根本的違いが文化間の差異を生み出し、また、保守派、リベラル派などの政治的イデオロギーの違いを生み出しているということがわかった。ただ、このグローバル化の時代において異文化圏の人に対する道徳的配慮の拡張は必要だと思うのだが、拡張をしないという選択も思想の自由であって、優劣はないとも思うのですが、道徳的配慮の範囲の大小に対して研究者がどう思っているのかを知りたいです。そういった優劣の問題を抜きにして、実験結果からわかることを丁寧に発表しておられて、自分の感情を発表に反映させない方がいいのかなと思いました。
探究をしていく上での留意点についてですが、”クリティカルシンキング”というワードが心に響きました。ただ批判するだけでなく、”その研究で何をしたいの?”、”どんなことがいえるの?”といったように、問いの答えを吟味する中で厚みのある探究にしていく必要があると思いました。
とても面白く、学ぶことの多かった1時間でした。
(#07)
今回、高松先生に探究活動についての講演という非常に貴重な経験をさせていただきました。研究過程を説明していただくなかで、研究内容だけでなくものの考え方もすごく勉強になりました。私は、探究活動で心理学のテーマを考えていたけれど、どのように検証すればいいのかが分からず結局諦めたことがありました。でも、高松先生は道徳性について「道徳の輪」を用いて検証されていました。心の中は見えないけれど、自分にとって友達やイルカはどのような存在なのかを輪の中に振り分けることで、分かりやすく心の中を表せるということに、なるほどそういう考え方をすればいいのか、と感じました。また、心理学の実験方法が分からない時は、研究対象を明らかにすればよいとアドバイスをいただいたので、今後の探究活動に活かしていきたいです。
(#08)
社会心理学という言葉自体は聞いたことがあったが、どんなものかということについては、理解が及んでいなかった。しかし数十分ではあったが、研究の内容を拝聴するとそれはしかし、現代社会の諸問題と非常に結びつきの強い、まさに我々の生きる社会に必要な学問であると、ひしひしと感じさせられた。先生が今回お話になられた『道徳的配慮の拡張性』については特に興味深いものだと思った。今まであくまで主観で感じていた曖昧な道徳の概念を、スッキリと論理で説明されたような、大きな衝撃があった。そして社会情勢と絡めた説明は、道徳という概念が世界で今必要とされているのだと実感させられた。
また、それと同時に、やはり心の問題である道徳の感じ方を論理的に組み立て、説を立する難しさも大きなものだと感じた。しかし逆に、こう言った人間の深い心理、共感性などはもともと客体として捉えるべきであるのかもしれないと思わされたらと、知れば知るほど深く面白い学問であった。
また、こう言った感覚を味わえたのは、今回拝見したスライドの簡潔さに因るところが本当に大きいのだと、分かった。それが今回の探究的な学びとしては大きかった。簡略化された図解と適切なタイミングの文章を見て、流石だなと。
加えて、私的にこれからの研究により生かせると思った先生のお話は、既存の研究の徹底的なレビューの重要性について、そしてクリティカルシンキングの大切さだった。特に後者に対しては、私たちの、いわゆる人間の心理を読み取るような研究には大きな要素になりそうであり、常に心におく必要があると感じさせられた。研究対象の定義づけについても、直近にでようやく完成した手順であったため、その重要性は身に染みた。
やはり最初に述べたように、人間の心理を統計的、データとして見る学問である心理学は改めてすごい学問なのだと、人間が必要としている学問なのだと、今回の公演で感じることができたのは、本当に大きな学びであったように思う。後は、単純にこう言った最先端の講演を拝聴し学ぶという体験が、私にとってまさに楽しいものであると改めて思わされた。こう言った体験を用意してもらえる学習環境に有り難みを感じた。
(#09)
心理学という明確な答えを出しづらい分野を扱って頂いた事もあって、内容を発展させる道筋を考える指標となった。一見すると簡単そうな質問から複雑かつ未知の答えが導き出される様子を見て、一度単純な思考に立ち返ってみるのもよいと思わされたので、手を出しやすい所から検証を進めていくつもりである。
【質問】
話題提起から仮説、実験方法、結論に至るまで、全てが長文(Powerpointで一枚のスライドが初期サイズの文字で半分~1/3程度埋まってしまう)のですが、蛇足や冗長な表現を削ること、箇条書き等にして文を簡略化することの他に文章を削減する方法はありますか。

8月3日(月)3時間目 2年1組
(#10)
心理学はどのようなことを学ぶ分野なのか一番分からなかった分野でしたが、今日の講演を聞いて、心理学という分野に興味が湧いてきました。
今日の講演で一番勉強になったことは、研究の発表におけるアプローチの仕方です。最近問題になっていた黒人差別のニュースに関わることを話題に取り上げながら、実は私たちの身近に存在している道徳的配慮の輪について発表なさっていました。そこから、ただただ自分の研究したことを自分が分かるように淡々と進めていくのではなく、相手の情報(相手が誰なのか、研究に関わる知識のうちどこまでの知識を持っている人なのか、など)を知ることで、より伝えやすくなるし、聞いている側も研究について考えられる発表になるんだと学びました。
また、研究内容についてですが、私は保守派のトランプ大統領の政治に対してあまり肯定的な考え方ではありませんでしたが、講演を聞いてみて、自分は思っているよりも保守派の考え方も持っているのではないかということに気づきました。
今回の講演は気付かされることがとても多かったですが、私も誰かに新たな視点から物事を捉えるきっかけを与えられるような探究活動、そして発表ができればいいなと思います。
(#11)
私も日本人とアメリカ人の“思いやり”の対象が違うなぁと感じていたので、興味のある話で聞いていて納得しました。
私は日本人は一番内側の輪の範囲が狭く、でも親友を本当に大切にする傾向があって、アメリカ人は範囲は広いけど、たやすくBest friendとか言う割にドライやなと思います。
プレゼンをする時は、オーディエンスを知ることが大切だとわかりました。やっぱり最後まで楽しんでほしいし、聞いている人を飽きさせないように、工夫したいと思います!
(#12)
今回の講義で私は研究の幅広さと難しさを改めて感じることとなりました。最初に高松先生の研究内容を聞いたときに道徳というものが研究の対象になるのだということにとても驚きました。正直、道徳は小学生のときに授業でやったぐらいで小さい頃に何となく備わっていくものぐらいの感覚でしたが、よくよく考えてみると、人が共生する上での根本に存在するもので社会を形成するのに欠かせないものなのだと感じました。また、道徳の輪の話の中で保守的であることとリベラルの二つの別れが出てきていましたがどっちかが正しいと言えるものでもないが、共生できるものではないこの二つをどのように研究の中でとらえるのか、また展開するのかが疑問です。最後に、今回の講義で学んだクリティカルシンキングなどの探究の進め方や探求への興味、掻き立てられた熱意をこれからの活動に生かしていきたいと思います。