京都大学教育学研究科E.FORUM 2022全国スクールリーダー育成研修 スクールリーダー育成のためのオンライン・リレー講座
2022.09.29
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京都大学大学院教育学研究科教育実践・コラボレーションセンターE.FORUMでは、6月から8月にかけて学校・教育委員会の関係者、教育志望の学生を対象に、「スクールリーダー育成のためのオンライン・リレー講座」をZoomによるオンラインライブ配信にて開催しました。
第1回目は6月19日(日)に、石井英真准教授による「教育改革の最新動向と授業づくりの課題」を配信し、74名の方がご参加くださいました。参加者からは、「教育改革の最新動向がよくわかりました。深い学びは、子どもが学んだことを通してそれを眼鏡として、社会が見れるようになるという言葉は、納得いたしました。また、子どもの姿で、教師の授業観が変わるということもなるほどだと思いました」、「授業づくりについて、『教科の本質』『生徒の姿を動詞で見る』『教材研究で面白かったところを子どもにたどらせる』等ヒントになる言葉に触れることができた」、「中学校の先生たちに、自分の専門とする教科の本質、教科の見方・考え方を意識した授業こそが本当に魅力ある授業となることに気付いてもらえるような発信をしていきたい。学校の授業の役割、協働的な学びを大切にしてもらえるように」といった感想が寄せられました。
第2回目は7月2日(土)に、西見奈子准教授による「精神分析から考える教育」を配信し、40名の方がご参加くださいました。参加者からは、「教員側の心のプロセスを子供たちがみているということが分かり、まずは自分の心を見つめなおしてみようと思いました。『妄想分裂ポジション』『抑うつポジション』など、今まで漠然としていたものが言語化され、子供との関係性をメタ的に考えられるようになりそうです」、「[研修の成果は]1)精神分析について、私の中で既知の部分とそうでない部分の整理ができたこと、2)自分の行ってきた、生徒指導場面や授業場面での出来事について、あとで冷静になって内省的に省察するスキルの効果が、歴史のある精神分析の分野でも共通して行われていることが分かったことでした。ほか、海外では、臨床心理学の専門性とスクールカウンセラーとは別の養成課程であると知ったことでした」、「精神分析そのものと教育は違う営みのものと西先生はおっしゃっていましたが、エッセンスとしては『自由に考える時間を提供する』ということは教育にも必要だと思うので、それを少し実践研究してみたいと思いました」といった感想が寄せられました。
第3回目は7月16日(土)に、明地洋典准教授による「障碍と発達に関する基礎知識」を配信し、28名の方がご参加くださいました。参加者からは、「現場では、明治時代から続く一斉授業では、現在の課題に対応できない状況にきています。個別最適な学びと協働的な学びの実現に向けて、今回のフォーラムのように、専門的な知識と現場の実践知の共有が必要であると感じました」、「勤務している公立高校では、特別支援コーディネーターが置かれているものの、専門的知識のある教員がついていることは少ない。また、一般業務の片手間に行うしかなく、カウンセラーや通級指導などの体制も十分ではない。学校現場の『医療モデル』での支援は大変難しく、生徒の間に分断を生む。学校現場では『社会モデル』に基づいて支援をしていくべきだと思う。教員が行える支援は、ユニバーサルデザインと人権(一人一人のリスペクト)が鍵になると思う」、「社会は結構我慢や努力が必要で、その我慢や努力自体が苦しい子も多いと感じる。沢山配慮すればてきることも増えるが社会はそうではない。だから配慮と自立に向けた練習のバランスが、日々難しいと感じている」といった感想が寄せられました。
第4回目は7月30日(土)に、楠見孝教授による「批判的思考力とリスクリテラシ―」を配信し、44名の方がご参加くださいました。参加者からは、「批判的思考力の育み方について、コロナ禍を具体として掲げた教育実践の在り方を見出すことができました」、「ロジカルな主張とともに感情面の配慮が必要であることを学習者に提示して、問題解決をする方法を考えていかなければならいことに難しさを感じました」、「批判的思考力をどのように位置付けて、授業に取り入れていくのかが少し見えてきました」、「楠見先生の言葉の説明で、これまで何となく理解していた語彙の意味を再確認できた。クリティカル思考の意味を納得できた。批判的思考を吟味思考と訳すことで、納得できた」といった感想が寄せられました。
第5回目は8月6日(土)に、西岡加名恵教授による「カリキュラム改善の進め方――パフォーマンス評価をどう活かすか」を配信し、62名の方がご参加くださいました。参加者からは、「授業づくりにおいて、逆向き設計とパフォーマンス課題を意識していくことで、子どもが夢中になれる授業につながると感じた」、「パフォーマンス評価、パフォーマンス課題の理解を改めて深めたり広げたりすることができました。また質問や記録から学校の実態等を垣間見ることができました。いろいろな資料をありがとうございました。しっかり引用して利活用します。今後の大学の授業や教員の研修等に生かします」、「パフォーマンス評価を実践していて、生徒の生徒する姿に毎回感動しています。それを同じ学科の先生たちと共有したいと思うのですが、なかなか理解が得られず否定的な意見に心が折れそうになります。今日研修会に参加し、私自身が楽しみながらやること。地面に水がしみこむように粘り強くやっていきたいと思えました」、「今回の研修で学ばせていただいた内容を基にして、私自身が教職大学院で担当している理科教育の授業で、パフォーマンス課題づくり、ルーブリックづくり、パフォーマンス評価の学びを院生と一緒に深めていきたいと考えています」といった感想が寄せられました。
5回のオンラインでのリレー講座に、延べ248名の方がご参加くださいました。参加者の皆さまに、心より感謝申し上げます。