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連続研究会「『生きる』教育」(2022.12.26, 2023.2.11)

2023.03.31

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 京都大学大学院教育学研究科教育実践・コラボレーションセンターE.FORUMでは、2022年12月と2023年2月の2回にわたって、学校の先生方、教育委員会関係者、教員志望の学生、子ども支援に携わる方々を対象に、連続研究会「『生きる』教育」をZoomによるオンラインライブ配信にて開催しました。
「『生きる』教育」とは、大阪市立生野南小学校(現・田島南小学校)が開発したプログラムであり、「荒れ」(暴力や暴言、いじめなど)や自傷行為を防ぎ、自分も周りの人々も大切にする子どもたちを育てることを目指しています。
 第1回目(2022年12月26日(月)配信)は、大阪市立田島南小学校の小野太恵子教諭を講師にお招きし、「『「生きる」教育』とは何か」をご講演いただきました。約53名の方がご参加くださり、参加者からは、「高等学校でも、問題を起こす生徒は『指導』をしていますが、その背景には必ずと言っていいほど家庭、愛着の問題がかげを落としています。特別支援の方法では、特定の個別支援しかできませんが、クラスの枠で、行う方法を模索していました。[中略]情熱や熱意などという精神論ではなく、理論的に取り組まれている先生の実践に興味を持ちました。子供たちを取り巻く環境の悪化、そこへのかかわり方、学校の文化の問題等、もっと広く知ってほしいと思っています」、「定時制高校、そして現在の在籍校で先生のお話に出てきたような生徒、保護者と接する機会も多く、お話を伺いながら、高校で何ができるかを考えていました。[中略]『きれいごと』に終わらない取組、授業の大切さ、そしてやはり『人』が問われるということなど再確認しました」、「先生の覚悟と願いと、子どもたちにとってのご実践の意義を強く感じるお話で、胸がいっぱいになりました。指導案に魂を込めるのは人、という言葉がとても印象に残っています。それと同時に、先生方にとっても、子どもたちにとっても、知識や認識が大切にされていることの大きさを感じました」といった感想が寄せられました。
 第2回目(2023年2月11日(土)配信)は、シングルマザーへの支援に取り組んでおられる社会福祉士の辻由起子氏を講師にお招きし、「『生きる』教育」の必要性についてご講演いただきました。約70名の方がご参加くださり、参加者からは、「学校の悩みに即したお話をありがとうございました。[中略]お話を聞いて学校教育ができることがまだまだあることがわかり、勇気をもらえました。何より実践で証明してもらっていることが後押しになります。学習指導要領は学校の裁量で工夫できる点がたくさんあります。まずは教師が子どものこと、社会のことをもっと勉強していかなければと感じています。子どもにとって安心安全の場となるように努めることが学校の役割だと再認識しました。みんなが幸せを求めていることを忘れてはいけないと思いました」、「今、学校では来年度について話をしていますが、その大前提として教員も子供たちを本当に大切にしているかを見直したいと感じています。ある保護者から、うちの子が勉強ができないのは私たちが◯◯団地に住んでいるから、と思っているのではないですか?と言われ、ドキッとしました。教職員に無意識のバイアスがあるのでは?それを保護者は感じていたのかもしれません。高級住宅街も校区にはあり、外国にルーツを持つ児童もたくさん在籍しています。学校がうまく核となり、子供だけでなく地域の協働体になりたいと考えています」、「多くの場で多くのサポートをされてきた、まさに実体験に基づいた数々のご発言に、社会変革の息吹を感じました。生野だけでなく、全国各地にこのような状況があるとのこと、私も耳目にしてきました。[中略]今後、教師、福祉関係者、行政関係者、政治家、運動家などをつなぐ、幅広い専門的知識と実践力をそなえた人物・専門家(子ども巡る状況を俯瞰し得る能力を有した研究者)の集団が、益々必要になるのではないか、等ということを考えたりしておりました」といった感想が寄せられました。
 ご登壇くださった小野太恵子先生、辻由起子先生、そして参加者の皆さまに、心より感謝申し上げます。

講師と参加者との記念撮影(第1回)


講師と参加者との記念撮影(第2回)