京都大学 大学院教育学研究科 教育学部

教育学研究科教育実践コラボレーション・センター E.FORUMでは、2022年6月から8月にかけて、京都大学高等教育研究開発推進センターの協力のもと、KoALA（Kyoto University Online for Augmented Learning Activities）を活用したオンラインによる「教育評価の基礎講座」（全6回）を配信しました。本講座は、2020年・２０21年度に提供した内容の再配信ですが、2022年度も学校現場の先生方や教育委員会関係者などを中心に110名の方が受講してくださいました。

各講義の講義名と担当者は次の通りです。第1回「2017・2018年改訂学習指導要領の特徴」（西岡加名恵教授）、第2回「『目標に準拠した評価』の基本的な考え方」（西岡加名恵教授）、第3回 「パフォーマンス課題の作成」（西岡加名恵教授）、第4回 「ルーブリックとポートフォリオの活用」（西岡加名恵教授）、第5回 「2019年改訂指導要録のポイント」（石井英真准教授）、第6回 「学校ぐるみの授業改善の進め方」（石井英真准教授）。講義は、2週間に1回のペースで配信し、各回にはミニテストを設け、理解度を測るようにしました。

受講者の皆さまからは、受講後のアンケートに対し、次のようなご意見・ご感想をお寄せいただきました。

「本講座では、前半で『理論』や『実践』についての、いわばトレンドの核の部分に学ぶことができました。中でも、『逆向き設計』論に基づく『理論』の立て方については、『目標』『目的』の重要性を再確認する上でも大きな気づきであったと感じています。『実践』においても、『目的』をベースにしながら『本質的な問い』を立てて、パフォーマンス課題を設計するといった、明確な方法を知ることができたことも大きな収穫です。（中略）後半は、『評価』についてその枠組みを示していただけたため、イメージがより具体的になりました。中でも、『目的』『目標』の違いについては、授業改善にばかり目を奪われていた自分にとって、原点に回帰するきっかけとなりました。そして、改めてそれらこそが『教育』の柱であることにも気づくことができました。また、『知っている・できる』『わかる』『使える』という学力の三層構造も、『思考力・判断力・表現力等』『学びに向かう力・人間性等』の育成を考える上で、やはりイメージを具体化する学びとなりました。」

「学習指導要領が目指す評価について理解することができた。特に、観点別評価の実践について知見を得たのではないかと思う。現在は大学院で学修しているので、実際に評価をする立場にはないが、実際に観点別評価をするときには、とても難しい状況になるだろうと予想していた。しかし、ポートフォリオの活用などによって、評価のための授業に陥ることが避けられるし、ポートフォリオの共有によって、教師は、個別に生徒の学びが分かり、指導も個別化することができる。生徒もポートフォリオを振り返ることで、自分の学びを振り返り、教師とのカンファレンスによって、自立した学習者になることが期待できると思った。また、評価や授業づくりにおいて教師間の協働の大切さを実感した。」

「これまで子どもに教科の力をどうつけるかどう見とるかに関心があり、教材研究や評価について学んできた。本講座を受講したきっかけもそうであった。しかし、講座を終えて、それも大事なことではあるが、そもそもなぜ教科を学ぶのか、学んだことをどう生かすのかが抜けていたのだと思った。パフォーマンス課題の作り方について関心があった。教師が子どもの力を見とるためのものと捉えていたため、なかなか課題づくりのアイデアが浮かばなかった。最後の石井先生の講義を聞いて、教師の側からでなく、学習者にとってどんな意味があるのかなど、そもそもなぜパフォーマンス課題なのかを考えようと思った。」

「現場では、形式的な研究に陥りがちですが、この講座を受講することで、本来の目的や外してはならない部分がはっきりしました。例えば、主体的に学習に取り組む態度の評価についても、どうやって評価するのかということばかりに目が行きがちです。明確にどのような力を育てたいのか、そのためにどのようなカリキュラムを構築するのかというところまで踏み込んでいこうと思います。この講座を受けて、組織として動いていくべき方向性がはっきりしたことが一番の成果です。」

E.FORUMでは、引き続き実践に役立つ知見を得られる、楽しくて元気の出る研修を提供していきたいと考えております。今後ともご支援のほど、よろしくお願いいたします。