教育学研究科附属臨床教育実践研究センター公開講座 「手で夢見ること―トラウマ治療において、箱庭療法はどのように作用するのか―」(2023.11.5)
2024.03.29
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臨床教育実践研究センターでは、年1回、深刻化する心理社会的問題への取り組みの一環として、現代人のこころの理解に主眼をおいた公開講座を開催しています。
今年度は、ユング派(分析心理学)の開業心理療法家で、当センター客員教授のアレクサンダー・エスターホイゼン先生を講師にお迎えし、11月5日(日)午後1時から4時まで、キャンパスプラザ京都 第2講義室で開催しました。心理臨床家や教育関係者、学生の方など、近隣から遠方まで多くのお申込みを頂き、当日は全国的な感染拡大によるキャンセルがありつつも、約70名のご参加を賜りました。
「手で夢見ること―トラウマ治療において、箱庭療法はどのように作用するのか―」と題された講演では、初めに、ある子どもの箱庭療法過程において作られた作品を紹介しながら、どのように作品が変わっていったか紹介されました。そして、複雑性発達トラウマに焦点を当て、子どもの発達と安定した自己感の形成における身体的、心理学的、神経学的な影響について取り上げながら、理論的にご説明いただきました。また、そうした理論的説明を踏まえて改めて事例の経過をたどることで、非言語的で感覚的なアプローチや、治療関係の中で得られるコンテインされる感覚が子どもの発達にどれだけ重要であるかお話しくださいました。
講演後の質疑応答では、箱庭療法の中で現れる象徴的表現や無意識的な側面に関する質問をはじめ、感覚的なアプローチの難しい子どもへの工夫に関する質問や参加された方の臨床現場で出会った事例に関する質問などもあり、「手で夢見ること」というテーマについて再考する貴重な機会となりました。
参加者からのアンケートでも本講座は大変好評を頂きました。来年度以降も、現代社会の複雑なこころの問題を理解するための視点を一般市民に向けて広く提供し共に考えていく場となるよう開催していきたいと考えています。