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能と心理療法Ⅲ~「ワキ」とは何か~ を開催しました。(2015.08.26)

2015.10.14

2015年8月26日(水)13時~18時、京都大学教育学部第一会議室にて「能と心理療法Ⅲ~「ワキ」とは何か~」が開催されました。広く一般市民から心理・教育の専門職に就いている人を対象に公開され、本学の学生を含む約30名が参加し、盛会のうちに終了しました。

日本の心理療法には、感情の直接的表出が少なく沈黙が多いなどの特徴があります。こうした特徴に内在している心のプロセスを、心理療法と同じく「魂の癒し」をテーマとする古典芸能の能と比較してみることで、日本文化の中での「癒し」について検討しようという長期にわたるプロジェクトの一環です。

今回のテーマの「ワキ」は、悩み迷える「シテ」の語りに静か耳を傾ける存在であり、心理療法におけるセラピストとの役割と大きく重なります。「ワキ」としての基本的な所作、身体感覚に着目しながら、心理療法に従事するものに示唆を与え、今を生きる日本人全体の悩める「心」の問題に対しても気づきを得ることを願い開催されました。

前半では、下掛宝生流ワキ方能楽師 安田 登氏により、「ワキとは何か」と題した講演が行われ、境界や周辺に位置し、聴くに徹するワキこそが開きうる世界があるということを、質疑応答を織り交ぜながら実演も含めてお話し頂きました。

続いてワークショップでは、安田氏のほか青木健一氏(観世流シテ方)も加わり、ワキとシテとの相互の関わりや視点の違いについて、謡や仕舞を実演していただきました。参加者も謡を体験することで、ワキとシテの体験のあり方について身体を通して感じることができました。

さいごにパネルディスカッションは、安田氏、青木氏に加え、大山泰宏(本研究科心理臨床学講座・准教授)が参加し、これまでの「能と心理療法」に関する研究成果を踏まえ、日本文化の中での癒しに関して、フロアも含めた議論が交わされました。

なお、この催しは、平成26年度三菱財団研究助成「能と心理療法の関連からみた日本文化における「癒し」の深層」(研究代表者:大山泰宏) の助成を受けています。

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実演する安田氏、青木氏

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謡のワークショップの様子

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講演する安田氏