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「実践づくりフォローアップ講習」実践交流会&矢野智司教授講演会

2020.05.21

  • 一般の皆様へ

 2020年3月28日(土)に、京都大学大学院教育学研究科E.FORUMでは、国際科学イノベーション棟において、「実践づくりフォローアップ講習」、ならびに矢野智司教授講演会を開催しました。

「実践づくりフォローアップ講習」では、10月19日、12月14日に引き続き、お互いの計画や経験を交流することで、自分だけでは得られなかった新しい知見の獲得とネットワーク作りを進めていただくことを目指しました。今般の新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、当日参加された10名のうち5名はウェブ会議システム(Zoom)を利用しての参加となりました。遠隔による交流会は初めての試みでしたが、2つのグループに分かれて活発な議論が行われました。

グループAでは、「教科におけるパフォーマンス課題の実践」という課題に取り組みました。10月の検討会においては、ルーブリックや「本質的な問い」の作り方に関して戸惑っているという声も多く聞かれましたが、今回のプレゼンや話し合いでは、北原琢也特任教授(教育学研究科)の支援のもとで得てきた知見を活かしながら、自信を持って実践に取り組まれている様子を伺えました。会の終わりには、「E.FORUMを通じて、学び合い、励まし合う仲間をつくることができて、心強かった。来年度以降も是非参加したい」という感想を参加者の皆様より頂きました。

 グループBでは、「学校課題を解決するマネジメント」という課題に取り組みました。盛永俊弘特任教授(教育学研究科)の助言を受けながら、前回の議論を受けた上での工夫やさらなる改善の取り組み、ならびに今年度の成果についての意見交換が行われました。参加者からは、自身が抱えている課題の解決の糸口を探りに参加したものの、この研修に参加してそもそもの課題設定を練り直す契機になったという声が聞かれました。また、全国に目の前の現状は違えど同じように四苦八苦しながら挑戦し続けている仲間がいることを実感し励まされたので、これからも頑張っていきたいという前向きな表明も多くの参加者から聞かれました。

 引き続き午後は、矢野智司教授による講演会「先生が生まれ教育が始まる」が開催されました。講演では絵本を題材にしつつ、「市場交換」「贈与交換」「純粋贈与」という視点から「教えること」「伝えること」をとらえ直しました。参加者からは、「サービスでも社会化でもない、教育が教育であることの根底を考えました」、「教師の基本は純粋贈与であると認識できていれば、見返り=成果のなさなどに心乱れることなく、生徒を信じ待つことができると思いました」、「教育は目に見えないけれども、目に見えないものが未来の可能性を担う、それを信じて見えない贈与に心を尽くしていきたいと思います」、「近年は、『ブラック教師』、『働き方改革』の名の下で、教員の給与とそれに対する労働時間が対になって語られています。授業料の分だけ教える。つまり、教育が市場交換になってしまっています。言いかえれば、学んでいる者は教えている者に『負い目を感じない』。贈与する者=先生という起源を考えても、教師の在り方については考え直していく必要があることに気づきました」といった感想が寄せられました。本講演は、矢野教授の京都大学ご退職前の最後の講演でした。卒業生の門前斐紀さんによる絵本の朗読も大変好評でした。

 新型コロナウィルスの影響によって参加を見送られた方も少なくありませんでしたが、講演会には68名の参加がありました。なお、当日は会場の入り口にアルコール消毒液とマスクを用意し、スタッフを含む参加者全員に、手指の消毒とマスクの着用をお願いしました。会場内では間隔を空けて着席してもらい、ドアの開放や換気扇を回すなど、感染予防に努めました。

意見交換の様子(グループA)

意見交換の様子(グループB)

矢野智司教授による講演の様子