
『こころの問題』は、一人ひとりの個人の生の一回性と個別性と切り離すことのできない問題である一方で、社会と時代の盲点を色濃く反映しうる。いじめ、不登校、虐待など、子どもをめぐる問題は依然として後を絶たないが、その性質には個別性と普遍性に加え、その時代時代における未曾有性が含まれうる。
附属臨床教育実践研究センターはこうした心理社会的問題にアプローチする高度専門教育研究機関である。その礎は、1954年(昭和29年)に開設され、1980年(昭和55年)から文部省認可(当時)を受け、全国初の相談有料化を果たし、わが国における先駆的役割を担ってきた『心理教育相談室』にある。
当相談室における臨床心理事例研究に立脚した個別的対応を図る豊富な活動実績と教育研究実績に基づき、いじめや不登校および教育現場をめぐる未曾有の事件等の増加を背景に、1997年(平成9年)4月より、教育学部附属臨床教育実践研究センターが、文部省の認可のもとに設置された。翌年の1998年(平成10年)の大学院重点化に伴い、教育学研究科附属臨床教育実践研究センターとして現在に至っている。
本センターは、心理教育相談室を中心に、臨床教育上の固有の実践的課題に密着した学問的研究分野として、臨床実践学・臨床人間形成学・臨床人間環境学及び、2000年(平成12年)4月に新しく設置された臨床実践指導研究から構成される。国内外の協力機関との連携、国内客員教員・外国人客員教授の招聘等によって教育研究を推進している。また、来談者の相談実践に関する教育指導・訓練、個別集中指導(スーパーヴィジョン)をはじめとした高度専門家養成にかかる実践研究活動を行うとともに、教育現場の多職種専門家を対象にしたリカレント教育事業、心理職に対する研修事業、臨床心理士の高度専門家・指導者養成および公認心理師養成のための教育研究担っている。
組織関連図は以下のとおりである。
組織関連図

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