卒業論文の進め方について 楠見
0 卒業論文について(便覧p161-162参照)
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倫理規定(人権の尊重,守秘義務,知的財産権の尊重)
1.卒業論文の意義と内容
1.1 卒論は4年間の学習成果そして大学院を希望する人は研究者としての潜在能力を示す論文である。作成過程における自主的な学習活動が重要である.
1.2 卒論は,心理学的にみて意味のあるレベルの論文として,テーマ,方法,分析,考察が必要である(そうでないと大学院進学は不可能である).したがって,思い付きだけの調査・実験では論文にはならない.テーマについての,研究史や理論の批判的な文献的研究を十分におこなう必要がある.そうした基礎がないとよい調査や実験はできないし,合理的な議論や結論,さらに,オリジナルな発見を導くことはできない.
II計画立案のための読書の仕方
佐伯(1986)によれば,研究は,縦糸(依拠する研究)と斜め糸(対抗する研究)の中に位置づけることができる.そして,研究の横糸は,異なる分野における,同じような考え方や理論,主張である.一見異なるテーマの論文間にどのような結び付きがあるのかを,自分自身で見つけることが,自分自身の研究の始まりである.
さて,研究テーマを,見つけるにはどうしたら良いだろうか.佐伯(1986)は4つ挙げている.
1.社会現象において,従来の理論では説明がつかない現象に目を向ける.
2.学問の研究途上でできあがった前提や制約条件を明確に意識する.
(縦糸を意識する.過去の研究を勉強することが大切)
3.どんな研究結果も,実験者,調査者が設定している解釈の枠組みを変えて,全く違う解釈ができないかを考えてみる習慣をつける.
(斜め糸を意識する.批判的にみる)
4.当面の研究結果と,どこかで共通している問題が,異なる分野になかったかと考えてみる(横糸に着目する)
III テーマ設定のポイント
1.研究テーマ:II参照
2.研究目的:何をどこまで明らかにしようとするのか,焦点を絞る.
3.研究計画・方法:
研究目的を達成するための研究計画,方法(調査,実験,文献研究など)について
4.研究の特色:従来の研究に比べて,どこが新しいか
5.この研究に関する日本国内,海外の研究状況:何がどこまで明らかになっているのか
そのテーマの国内外第一人者を調べる。webのチェック,e-mailでコンタクトをとる。
6.人より優れた研究をする秘密兵器は?
参考文献
佐伯 胖 1986 認知科学の方法 (認知科学選書10) 東京大学出版会
南風原朝和・市川伸一・下山晴彦(編) 2001 心理学研究法入門:調査・実験から実践まで 東京大学出版会
V.卒論研究計画進行予定表(月はおよその目安である)
(就職活動,公務員試験などの予定も考慮に入れ,記入する)
第1期(準備期)
10-11月
テーマ探索と絞り込み 展望論文
テーマ設定 専門書
先行研究の探索 和雑誌→洋雑誌、 データベースの活用
予備実験・調査の研究計画の立案
12月-1月 予備第一実験・調査の準備と実施
1月末 予備実験調査の発表
第2期 (実行期)
2-3月 テーマ設定と実験調査計画の再検討
先行研究の探索 和雑誌→洋雑誌、 データベースの活用
4月-7月 第一実験・調査の準備と実施
8月 分析,結果の考察
9-10月 第二実験・調査の準備と実施
分析,結果の総合的考察
第3期 (執筆期)
11-12月 執筆
第一稿完成
1月 最終稿の完成と提出,審査
VI その他のノウハウ
卒論ノートを作るー>PCに入れておく
浮かんだアイディア,先生・先輩・友人との話した内容,文献の書誌事項,論文のメモ,データなど
2005.10