教育・人間についてのものの見方を多角的に研究する。例えば、カリキュラム・指導方法・教育評価に関する理論構築。学校教育における実践改善のモデルの構想。教育の制度や実践の歴史的解明。近代の学校教育に限定されない教育の歴史的研究。ヒトの心や脳の発達原理、遺伝的・環境要因など、発達支援に資する実証的研究。就学前・乳幼児期・胎児期まで視野に入れた人間発達のモデルの構想。実践やフィールドの具体的問題の哲学的な解明。国際フィールドを視野に入れた思想研究。教育及び教育学を反省的に捉え、芸術・宗教・習俗など文化諸領域を視野に入れた教育現象の解明など。

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矢野 智司(やの さとじ)教授

教育人間学:生成の教育人間学

現代思想・人間諸科学の成果をもとにしながら、学習や遊戯、贈与や供犠といった、人間の変容や生成における創造的あるいは病理的事象から、「人間とは何か」を考察し、さらに翻って、人間についての反省から「教育とは何か」を根本的に捉え直すことを目指している。詳細は、拙著『ソクラテスのダブル・バインド』(世織書房)、『自己変容という物語』(金子書房)、『動物絵本をめぐる冒険』(勁草書房)、『意味が躍動する生とは何か』(世織書房)、『贈与と交換の教育学』(東京大学出版会)、『幼児理解の現象学』(萌文書林)を参照。

鈴木 晶子(すずき しょうこ)教授

教育哲学:教育詩学・歴史人類学

人聞は環境世界との関係の中で、何をどのように学び、次世代に伝えているのだろうか?伝統的なわざの修練における創造的模倣(ミメーシス)はもちろんのこと、儀礼や儀式における演劇的行動(パフォーマンス)を通して、人聞は理性や悟性といった知性だけではなく、身体や感性・感情を働かせて学んでいる。その人らしさといったいわば個性や流儀(スタイル)を把握する能力(タクト)を学習の鍵として捉える立場から、わざの修練や伝承の場面、学校や家庭、社会での伝達・学習の場面をフィールドとして、詩学や人類学の手法で調査獅究している。

西平 直(にしひら ただし)教授

臨床教育学:教育人間学・死生学・東洋思想

思想研究による教育人間学。テーマは、①ライフサイクル(人間形成・人格変容・ライフヒストリー)、②アイデンティティとスピリチュアリティ(自己・実存・内面性)、③ケア(相互性・ジェネラティヴィティ)。詳細は以下の著書をご覧ください。『教育人間学のために』(東京大学出版会)、『ケア講座・第三巻・ケアと人間』(編著、ミネルヴァ書房)、『エリクソンの人間学』(東京大学出版会)、『生涯発達とライフサイクル』(共著、東京大学出版会)、『魂のライフサイクル-ユング・ウィルバー・シュタイナー』(東京大学出版会)、『シリーズ死生学、第三巻・死とライフサイクル』(共編、東京大学出版会)、『誕生のインファンティア-生まれてきた不思議・死んでゆく不思議・生まれてこなかった不思議』(みすず書房)、『世阿弥の稽古哲学』(東京大学出版会)、『無心のダイナミズム』(岩波現代全書)など。

駒込 武(こまごめ たけし)教授

教育史学:植民地教育史

日本の近代と東アジアの近代が交錯する地点で、教育の歴史を考察している。教育は、複数の民族集団のあいだの格差をつくりだし、固定化する傾向を持つと同時に、このような仕組みを認識し、批判し、つくりかえていく力をもたらしもする。そうした両義性に着目しながら研究を進めている。著書として、『世界史のなかの台湾植民地支配―台南長老教中学校からの視座』(2015年)、『戦時下学問の統制と動員』(2011年、共編)、『帝国と学校』(2007年、共編)など。

Homepage: http://jshse.educ.kyoto-u.ac.jp/

明和 政子(みょうわ まさこ)教授

発達科学・比較認知科学:人間の心の発達とその進化史的基盤

人間の形態的な特徴と同様、目には見えない人間の心のはたらきも、進化的淘汰の産物です。人間らしい心とはどのようなものか(what)を知るには、それが「いつ(when)・どのように(how)・なぜ(why)生まれてくるのか」を明らかにする必要があります。私は、人間の心の発達とその進化史的基盤を、個を取り巻く他者、社会、文化との関係において解き明かそうとしています。おもな著書に『なぜ「まね」をするのか(河出書房新社)』『心が芽ばえるとき(NTT出版)』『まねが育むヒトの心(岩波書店)』など。

Homepage:  http://myowa.educ.kyoto-u.ac.jp/

西岡 加名恵(にしおか かなえ)教授

教育方法学:カリキュラム論、教育評価論

学校のカリキュラム(教育課程)は、社会に存在する文化から次世代に伝えたい部分を選び取って組み立てられます。そのような選び取りがどのように行われているか/行われるべきかに関心を持っています。英米における実態調査や、日本の学校でのアクション・リサーチ(開発研究)を進めています。主な著書は、『教科と総合学習のカリキュラム設計』(単著、図書文化)、『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価』(編著、明治図書)など。

E-Mail:nishioka

齋藤 直子(さいとう なおこ)准教授

教育人間学:アメリカの教育哲学

プラグマティズムとアメリカ超越主義を中心としたアメリカ哲学の現代的意義を、「翻訳としての哲学」および「生き方としての民主主義」という観点から再評価し、たゆみなき自己と文化の完成を目指す「おとなの教育としての哲学」を提言することが研究課題である。国際プロジェクト「翻訳としての哲学と他文化理解:双方向的国際化に向けた哲学と教育の学際研究」を通じて、欧米の哲学者、教育哲学者との国際交流をフィールドに活動している。著書The Gleam of Light: Moral Perfectionism and Education in Dewey and Emerson( 2005)『;〈内なる光〉と教育-プラグマティズムの再構築』(2009年)。共編著(with Paul Standish)Stanley Cavell and the Education of Grownups( 2012);Education and the Kyoto School of Philosophy: Pedagogy for Human Transformation (2012)。訳書スタンリー・カベル著『センス・オブ・ウォールデン』(2005年)、ポール・スタンディッシュ著『自己を超えて:ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、レヴィナスと言語の限界』(2012年)

石井 英真(いしい てるまさ)准教授

教育方法学:学力論、授業論、教育評価論

日米のカリキュラム研究、授業研究の蓄積に学びながら学校で育成すべき資質・能力の中身をどう構造化・モデル化し、それらを実質的に実現しうるカリキュラム、授業、評価、教師教育をトータル的にどうデザインしていけばよいのかを考えている。小・中・高の教育現場の先生方と一緒に、授業づくりや学校改革にも取り組んでいる。主な著書に、『現代アメリカにおける学力形成論の展開』(単著・東信堂)、『今求められる学力と学びとは」(単著・日本標準)、『アクティブ・ラーニングを超えていく「研究する」教師へ』(編著・日本標準)などがある。

E-Mail:ishii

RAPPLEYE, Jeremy(ラプリー ジェルミー)准教授

 教育人間学:比較教育、教育社会学、教育哲学

世界の教育学研究は、西洋(とくにアメリカ、イギリス、ドイツ)の「進んだ」研究パラダイムにほとんど支配されていると言ってよい。
こうした中で、新たなパラダイムを提案していくためには、西洋とは異なる伝統、歴史下での事例を見つけ出し、考究し、そして、その事例と対話をすることが必要である。その際、哲学的、社会学的、教育学的側面を個別に考慮するのではなく、それらを統一的に理解することが欠かせない。私はとくに、西洋とは異なる伝統、歴史下(とくに日本)で発展してきた理論・事例を研究している。また、それらの理論・事例を、別の国に適用することの可能性と限界についても考察している。最近の代表的な学術論文は、次のとおりである。「輸入した時間を生きる-時間、自己、ニヒリズム、学校教育」(Comparative Education、2016年掲載、小松光との共著)、「PISAパラドックス-PISAスコアの国間差を説明する新しい理論」(Comparative Education Review、2017年掲載予定、小松光との共著)、「日本の教育を再考する」(Oxford Studies in Comparative Education、2011年出版、David Blake Willisとの共著)

VAN STEENPAAL, Niels(ファンステーンパール ニールス)准教授

 教育史学:近世教育・思想史、メディア、道徳文化

近世日本の教育史において、義務教育がなかったという点は、もっとも重大な前提であり、我々の現代的な常識を捉えなおせる視点でもある。つまり、政府によって教育内容はもちろん、教育それ自体が規制されていない環境の中、人々はいったい何を、何のために勉強していたのか。そして、そのために必要となる知をどのようにして手に入れていたのか。この根本的問いと葛藤することを通じて、近世的な人間形成の有り様を解明するのが研究の基盤となる。もう少し絞った課題として、道徳を一人個人の「主体性」の問題としてではなく、環境や物質文化と密接する文化的表象としてとらえる、「道徳文化」の研究を行っている(拙著『〈孝子〉という表象ー近世日本道徳文化史の試み』を参照)。

森口 佑介(もりぐち ゆうすけ)准教授

 発達認知科学、発達心理学、セルフコントロール、想像力

ヒトに特徴的な心の特質が個体発生の中でいかに出現するか、その生物学的な基盤はいかなるものであるかを解明したいと考えています。特に,セルフコントロール能力と想像力に焦点をあて、乳幼児期や児童期、青年期におけるこれらの能力の発達的変化を,行動観察,行動実験,視線計測,脳機能計測などの発達認知神経科学の手法を用いて検討しています。主な著書は、『おさなごころを科学する』(新曜社)など。

E-Mail:moriguchi
Homepage: https://sites.google.com/site/moriguchichildlab/

田中 智子(たなか ともこ)准教授

教育史学:近代日本高等教育史

日本の近代とはすなわち「学校創設の時代」である――と思わせるほど、明治の地方紙は教育関係の記事に満ちている。資金も人材も足りないがゆえに、地方長官、府県の役人、議員、宣教師、医師、学者、旧藩主、そして文部省等々、多様な主体がからみ合って教育の場が形づくられていく。その混沌とした実態と制度を研究してきた。「官立」「公立」「私立」の境界も流動的な開化期から、徐々に枠組みが整い出し、関係勢力も変容する20世紀以降へと手を拡げつつある。

広瀬 悠三(ひろせ ゆうぞう)准教授

教育哲学:教育哲学・思想、地理的・道徳的教育人間学

人間の形成を、場所・地理性と時間・歴史性の交差する変容過程から捉え直し、現代の人間と教育のあり方を研究している。とりわけ、近・現代ドイツ・フランス・英米の哲学を手がかりにして、どのようにして具体的で多様な地理的現実を生きる子ども・人間が自らを脱し、有機的に他者と結びつき、差異を受け入れながら世界市民として生きることができるかに関心を抱いている。また教育哲学と教育実践の相互連関から立ち現われる、総合的な学習におけるもの作りや芸術的活動、さらには信頼を基にした道徳的・宗教的教育実践における人間の形成に注目している。主な著書に『カントの世界市民的地理教育』(ミネルヴァ書房)などがある。

田中 友香里(たなか ゆかり)特定助教

発達科学・発達心理学:社会認知発達、養育者一乳児間相互作用

養育者と子ども双方にとって適切な社会的環境とは何か。正しい子育てとはどのようなものか。近年、こうした単純な問いに対して、科学的な知見に基づく回答が求められています。私は養育者と子ども聞のに見られる相互作用の特徴と、それに関わる脳のはたらきを研究しています。特に、乳児と養育者双方の脳と行動が、日常の相互作用経験を通してどのように有機的に変化していくのかを、脳波計測や行動調査によって調べています。