本講座は教育学分野と教育史分野から成る。 教育学分野は、人間の生成と実践を含む教育の諸課題を原理的・哲学的に探求している。 教育史分野は、教育の思想や文化、制度や実践等を、歴史研究の方法によって解明している。 いずれも教育を、近代の学校教育に限ることなく大きな歴史や社会の視点からとらえるとともに、教育的営為がもつ多義的な側面に留意し、教育および教育学を反省的にとらえようとする視点を重視し、現代の教育や人間に関わる諸問題を学問的に読み解くよう、つとめている。

辻本雅史(つじもと まさし)教授
教育史学:日本教育史・近世思想史

思想史の方法によって、日本教育史、なかでも近世および近代前期の教育史を研究している。 これまで主に江戸儒学の研究を通じて教育の問題を考えてきたが、それは近代の「外部」の視点から、近代さらに現代の学校教育の特質を鮮明にとらえることを可能にすると考えている。 近年は近世の学習文化の歴史的研究とともに、教育のメディア史の視点から、日本教育史の再構成めざしている。 歴史の側に視点をすえて、教育や社会の諸問題を文化的に読み解いていくのが、基本的立場である。

鈴木晶子(すずき しょうこ)教授
教育哲学:教育史・教育詩学

教育学が今日でいうところの学問として成立してきた過程について、その学説史的研究を主にドイツの状況を手がかりとしながら進めている。 また、教育的な思惟方法やものの見方、つまり「教育的まなざし」がどのようにして誕生したのかを、18、19世紀の野生児教育や体罰についての資料、思想家のテキストなどの分析を通して解明している。 そして、今日、教育についての語りの中ではもはや自明なものと見なされている人間の成長発達や自立、アイデンティティといった言葉の歴史的な成立過程を追うことにより、その自明性を相対化するような教育哲学の新たなる研究様式を教育詩学として模索中である。

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駒込武(こまごめたけし)准教授
教育史学:植民地教育史

専攻は、戦前期の台湾・朝鮮・「満洲」などにおける植民地教育の歴史である。 最近は、サイード(E.Said)らの仕事に学びながら、教育だけでなく、宗教や大衆文化にも射程を広げて「文化と帝国主義」の関係を日本の事例に即して考えたいと思っている。 また、1996年に在外研究でスコットランドに滞在して以来、日本とイギリスの植民地支配を串刺しに論じられる方向性を考えるために、「日本植民地支配下の台湾におけるイギリス人宣教師の活動」についての研究を進めている。