野殿・童仙房地域における協働的な「学びの空間」をめぐるフィールドワーク
研究代表者:児玉華奈
研究メンバー:太田拓紀・生駒佳也・辻喜代司
研究概要
1.研究目的
京都市内から電車を乗り継いで約2時間、さらに最寄りの無人駅から険しい山道を15分ほど車で駆けのぼると、突然のどかな山村地帯がひらけてくる。野殿・童仙房地域は三重県、滋賀県、奈良県に隣接し、京都府の最南端に位置する南山城村の二つの区である。標高500メートルの高原地帯にあり、主産業はお茶である。野殿は明治以前から続く伝統的地区、童仙房は明治にひらかれた開拓村であって、それぞれ豊かな地域的特徴をもつ。
ここではいま、一部の地域住民たちが京都大学教育学研究科と連携し、廃校となった旧・野殿童仙房小学校を拠点に、「学びの空間」づくりをはじめている。彼らと連携する大学側としても、野殿・童仙房地域の実態を把握することなしに、有効な協働的実践を行うことはできないだろう。本研究では、野殿・童仙房地域の歴史や民俗、「学びの空間」づくりに対する地域住民たちの意識に焦点をあて、両地域の地域的特性や住民の教育観を明らかにすることを目指している。
2.研究活動
各研究分担者が、以下のような問題意識をもって研究に取り組んでいる。
「野殿・童仙房地域と京都大学の協働をめぐって」(児玉)
なぜ地域住民は京都大学とのパートナーシップを望み、また、今後どのような生涯学習的な実践を展開しようと考えているのか。以上を把握することで、地域と大学による協働的実践の可能性を探求したいと考えている。
「童仙房地域におけるIターン生涯学習支援者のライフヒストリー」(太田)
童仙房地域で「学びの空間」づくりに関わる住民には、他地域から移住してきたIターンの方々が多い。彼らの移住してきた経緯と「学びの空間」づくりに関わる動機を研究することで、地域再生に関わる一つの示唆を得たい。
「童仙房地域の教育史」(生駒)
近世との連続性を持たずに、明治になって成立した童仙房の村落がどのような共同体を形成し、その上でどのような教育が行われてきたのか。以上を、近代以降の開拓村の中での位置づけを視野に入れて研究している。
「野殿地域の『寄り合い』に関する研究」(辻)
伝統的な野殿地区で引き継がれる「寄り合い」は、歴史的にどのような機能を有し、現在はどのような意味をもつのだろうか。これらを研究することにより、最終的には衆議の本質に迫ることを目標としている。
