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Last-Modified: 08-Mar-16 23:39:28. JST

幼児の心的推論能力解明に対する作動記憶からの発展的アプローチ


研究代表者:小川絢子
研究メンバー:上野泰治・溝川藍

研究概要
 現在、自分や他者の意図や感情、信念のような心の働きへの理解に焦点をあてた「心の理論」研究が盛んに行われてきています。心の働きへの理解が可能となるためには、それまでに獲得してきた認知機能が基礎に必要であり、一方で、心の働きへの気づきは、後にみられる社会性の発達の基盤となるということから、「心の理論」研究は認知発達と社会性の発達をつなぐテーマとして重要であるといえます。そこで、幼児期における、信念や感情などの心的状態推論の発達について、文献講読、調査からえられたデータの分析など、様々な方向からアプローチし、理解を深めることが、本コロキアムの主要な目的です。
本コロキアムでは特に、幼児期の子どもの心的状態推論に、記憶などの認知機能がどのように影響するのかを検討しています。日常的に他者の信念や感情を理解するというプロセスにおいては、心に対する知識を獲得していることに加えて、自己と他者、そして状況から得られる異なった複数の情報を操作する認知機能の働きが重要であるといえます。従って、特に近年関連が指摘されている作動記憶との関係に着目し、幼児期の心的状態推論能力の発達と、言語や作動記憶との関連性を検討する必要があります。また、従来の研究のように心的状態推論を単に正答・誤答といった2値変数で表現するのではなく、推論の根拠や推論過程に対する幼児の発話データを収集することにより、幼児の心的状態推論に対してより詳細にアプローチすることも重要であると考えられます。
以上のような研究課題をもとに、本授業では特に下記の2つの観点から幼児の心的状態推論の発達について検討しています。
1. 作動記憶分野における詳細な観点をもとに幼児の心的推論能力の予測を行い、発達研究への詳細な作動記憶アプローチの導入を模索する。
2. 信念や感情などの様々な心的状態推論における幼児の発話データを分析し、推論時の幼児の言語反応や状態を把握する。
 第1の観点について、幼児期から児童期の子どもを対象とした作動記憶のテストバッテリーのマニュアルをメンバーで講読し、幼児を対象とした作動記憶課題への理解を深めた上で、その中のいくつかを子どもに実施し、心的推論課題との関連を検討しています。また、従来の研究における作動記憶課題間の相関図をもとに、SEM結果を再現し、また、パス図を変更してSEMを行うことで、テストの構成概念妥当性について議論するなどしています。
第2の観点については、メンバーが実際に行った、幼児を対象とした調査における、心的状態推論時の発話データについて、テキストマイニングという分析を用いることによって、幼児期の心的状態推論時の発話が、年齢が上がるにつれてどのように変化していくのかを検討しています。

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