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Last-Modified: 08-Mar-10 23:43:56. JST

学校現場体験からみる心理臨床家の専門性



 これまでの取り組み                   京大会館でのシンポジウム風景

研究代表者:西嶋雅樹
研究メンバー:本多早由里・宮嶋由布・越智美幸・友尻奈緒美・長谷川千紘・永山智之

研究概要
1.これまでの取り組み
本コロキアムの参加者の多くは、学校臨床研究会という研究会に属している。この研究会は研究室内の有志を中心に構成され、アドヴァイザーとして桑原知子先生にも加わっていただいている。学校臨床研究会はこれまでにも、教師と心理臨床家の視点を調査研究で比較するという方法によって学校現場における心理臨床家の専門性について検討を行ってきた。このような調査研究を軸とした方法の他に、心理臨床学の分野において従来重んじられてきた方法として、事例研究という方法が存在している。事例研究では、ひとつひとつの事例を丹念に検討することによって、心理臨床に通底するテーマを見出し共有していくことが目指されているといえる。
本コロキアムでは、学校現場に主に心理臨床の立場から関わる大学院生の日々の取り組みの報告(学校現場体験報告)とそれを基にしたディスカッションを繰り返してきた。こうした方法、たとえば学校現場において体験している困難について参加者で意見交換を行うという方法をとることで、参加者に共通する問題意識が賦活され、そこから心理臨床家の専門性について考える糸口が見出されると考えたわけである。

2.学校現場体験報告より
学校現場においては、我々心理臨床家も子どもたちの目から見れば、「先生」という言葉で呼ばれる。この「先生」という言葉をどのように受け止め、その上でどのような役割を果たしていこうとするのか。あるいは、相談室で個別に会っている子どもがいるクラスに給食時に訪問を行うとき、どんなスタンスで教室に入っていったらいいのか。これらは学校現場に関わる上ではごく日常的な場面であるが(あるいは日常的であるからこそ)、こうした状況について考えることを通じて、我々が心理臨床の立場から学校という場にどう関わろうとしているのかということが、浮き彫りになってきやすい。またこうした議論を通じて,「専門性」という言葉が意味するところは一体何であるのかということも、直接・間接を問わずに常に話題に挙がってきた。ただし、このテーマは一朝一夕に論じられるようなものでもないため、今後も時間をかけて検討していくべきであるといえる。その意味で本コロキアムは、各々の参加メンバーがこの問いにそれぞれ取り組んでいくための端緒を開くという役割を担っていたともいえる。
誤解を恐れずに言うならば、学校現場において求められる専門性というのは、次の2つが相補的に機能するものであるといえる。すなわち、①臨床心理学・心理臨床学や精神医学などの専門的知識を身につけてそれを現場に還元していくこと、②現場の人々との生の人間関に基づいて個別の支援の在り方を模索すること、の2つである。学校現場体験報告という方法を通じて為されてきたことは、この2つのうちの主に後者と関連する議論だったといえる。

3.発達障害についてのシンポジウムの開催
上述のような取り組みの可能性がある一方で、専門的知識無くしては現場の問題に即した形での援助を考えていくことは、やはり困難である。
そこで本コロキアムでは、G-COEの発達障害プロジェクトとの共同企画として、平成20年1月30日に、京大会館において発達障害についてのシンポジウムを開催した。講師には京都大学医学部保健学科の十一元三教授をお招きし、事例検討会の形をとって行われた。参加者は本コロキアムに限定せず広く参加を募り、その結果多様な観点からの活発なディスカッションを行うことができた。この会を通じて、発達障害を考える上での大切な視点を得ることができたように思う。

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