共感(empathy)の比較認知科学的・比較認知発達科学的研究に向けた枠組みの構築
研究代表者:服部裕子
研究メンバー:森本陽・高岡祥子・瀧本彩加・鹿子木康弘・劉波
研究概要
研究目的
ヒトの社会的場面、特に協力や利他的行動を行う場面において、「共感」(empathy)は非常に大きな役割を果たしている。ヒトにおいては神経科学、発達心理学などの分野で共感は古くから研究されており、ヒト以外の動物にかんしてもサルやラットを中心に生理的指標を調べた研究がいくつか行われている。しかしながら、それぞれの分野が独自の枠組みで研究を進めており、ヒトおよびヒト以外の動物における共感能力を比較研究する際には、こうした個々の分野の研究を相互に位置づけ、統合する枠組みが必要である。本研究の目的は、ヒトおよびヒト以外の動物で行われている共感にかんする研究を多様な分野にわたって概観し1つの枠組みのなかに位置づけることにより、ヒトとヒト以外の動物の比較認知科学的・比較認知発達科学的研究にむけた共感にかんする枠組みを構築することにある。
研究方法
毎回セミナー形式で、神経科学、発達心理学、認知科学、動物行動学など多彩な分野における他者への共感にかんする最新の文献を概観し、グループのメンバーおよびセミナーの参加者とともに議論する。また、様々な学問領域で共感について研究している研究者も招き、そうした方々との議論を通して多様な理論およびアプローチを認識しつつ、相互の関連性や独自性を考察し、相互に位置づけることによりヒトおよびヒト以外の比較研究にむけて共有された枠組みを作る。具体的には、Preston & de Waal (2002) Empathy: Its ultimate and proximate bases. Behavioral and Brain Sciences, 25, 1-72.、Iacoboni & Dapretto (2006) The mirror neuron system and the consequences of its dysfunction, Nature Reviews Neuroscience 7, 942-951.,などのReview論文を中心に毎回1本のテキストを決めてそれらを輪読した後にディスカッションを行う。また、時間に余裕があればそうしたディスカッションに基づいた実験計画などについても議論し、ヒトおよびヒト以外の動物を対象とした実験を行う。
