日本認知心理学会第9回大会 シンポジウム2
21世紀市民のための思考研究の理論と実践

2011年5月28日(土)15:30-17:30

会場:学習院大学西2号館201室


企画・司会:

楠見 孝(京都大学)


話題提供:

楠見 孝(京都大学)

山 祐嗣(大阪市立大学)
鈴木宏昭(青山学院大学)


趣旨
  本シンポジウムでは、思考研究の証拠や理論を、学問の発展に加えて、個人や社会の問題解決などの実践にどのように活かしていくのか、21世紀に生きる市民のために、どのような研究を進めていくのかについて、話題提供とフロアを交えた議論を行う。

  最初に、楠見が、企画趣旨を説明するとともに、批判的思考、リスク認知、意思決定、類推などのテーマを取りあげ、良き市民の育成と社会の構築のために、思考研究がいかに貢献できるかについて論じる。

   つづいて、山は、市民リテラシー育成の方向性に反するように、メディア等によるかなりいい加減な論評が人々に受け入れられている現状を指摘する。そして、なぜこのような論評が人々に説得力がある説明として受け入れられていのかについて、実例を示しながら議論をし、「内省的思考によるシミュレーション」という視点を提唱する。

   最後に、鈴木が、従来、思考心理学は言語や意識との強いつながりの中で研究されてきたこと、近年の研究は思考が無意識、感情、身体、環境とのダイナミックな相互作用をしていることを明らかにしてきたことを紹介する。そして、こうした動向によって思考心理学が教育、メディア、生活など現実世界との豊かなつながりをより深まる可能性を指摘する。