発生的認識論(Genetic Epistemology) Jean.Piaget

2001.12.12 
教育学部2回生平知宏

自身の問題意識について
・人間の持つ概念・認識・認知の本質とその構造、起源についての疑問。
・発達心理学的研究としてみられる、Piaget理論に対する疑問。
・(余談)Piaget批判文献を読んだことがきっかけ。
 あと、卒論で書いていきたいと思っているテーマが、概念・認識・認知に関することなので、今回のリサーチが、予備調査的なスタンスになれば良いと思い、今回このテーマを選んだ。以下記述していく内容に関しては、Jean.Piagetの著書・論文を読んだことのまとめ、自身が感じたこととしている。
 

歴史的問題背景
・認識論が取り扱う命題
知識、特に科学的知識(Scientific knowledge)の基礎である諸概念と諸操作の心理的起源を説明しようとするもの。科学的一般性は経験や思考の結果、人間常識から引き出されるものであり、それ$B$r@bL@$9$k$3$H$O!"?M4V$N35G07A@.2aDx!"A`:n2aDx$J$I$r8&5f$9$k$3$H$K$D$J$,$k!#

・古典的認識論(KantLeibnizNeo-Kant学派)
知識とは事実(fact)であり、過程(process)ではない。研究対象は、現時点で存在する、静止的な知識形態である。
 

Piagetの発生的認識論
・基本命題
知識とは過程であって、事実ではない。知識の形態は継続的であり、再構成的である。
アインシュタインの相対性理論(ニュートン説の打破)、ヘーゲル・カントなどの諸哲学批判

・認識論基本仮説
知識の論理学的および合理的な構造化の進歩と、それに対応する心理形成過程との間に平行性が存在する。
概念・認識ということについて、二つの側面からの裏付けが必要である。一つ目は形式による概念・認識定義(知識の高い低い、適切不適切であるとは:ex物理的正当性、同時性概念)。もう一つは、客観的事実からによる判断(Piaget発達4段階理論、発達心理学的事実)。
こうしたことを行うのに有用性を持つのが、論理学の観点と心理学の観点である。

・論理学的側面からみた、概念・認識の論理構造発達。
図式的(figurative経験的要素の強い、事象の静止的模倣(物理的・経験的知識)
操作的(operative状態を変換し、systemの中へ組み込む
現実事象・対象を変換し、体系化する(一般性を導き出す)行為(抽象化)
 図式的論理構造から操作的論理構造への変換が、論理構造の発達である。
(事象の反省的抽象:reflective→知識の再体制化:reorganization
 

今後の指針
Piaget認識論関係の英語文献の続き...(『心理学と認識論』『発生的認識論』などなど)
・認知科学、生物学的な見地では概念、認識をどう扱っているのか?
・哲学・臨床心理・科哲などの他分野の立場からの研究内容(出来れば)、批判文献の精読。
 

参考文献・ソース
Jean.PiagetGenetic Epistemology」「Psychology and Epistemology

心理学検索URL
http://www.ke.shinshu-u.ac.jp/psych/