2001/12/19

イギリスにおけるChildcareの実践について

教育学部 2回生 岡田紋佳 中道麻由子

 

1. Childcareの意義

Childcareとは、「家庭の保護の外におかれた児童に対する地方自治体などによる一時的保護」のことである。今回私たちが取り上げたchildcareは、childcare for older children and young peopleとあり、対象となるのは小学生から中学生あるいはそれ以上の子どもたちである。小学校から中学校にあがる頃というのは、子どもに独立心や責任感といったものが芽生えてくる大きな変化の時期であり、多感で不安定な時期でもある。また、働く親が増え、子どもがいじめや誘拐といった危険な目に遭いはしないかという不安などから、childcare(子どもたちへの指導、支援)に対する親、子ども双方からの要求が高まっている。彼らが自信をもち、その潜在能力を十分に発揮するためには、さまざまな形での指導や援助、励ましが必要となる。また、貧しい地域の子どもたちや社会的に排除された子や田舎に住む子どもたちにとっても、学校外活動に参加することによって、家庭や地元では出来ない経験が得られるという利益がある。このような考え方に基づいて、イギリスでは、特に学校外教育という観点から、彼らを援助しようとするさまざまな試みがなされている。“National Childcare Strategy”(国家育児計画)の援助も伴って、14歳くらいまでの子どもたちを指導、支援しようとする多くの組織がこれから発展していくことだろう。これらの試みが成功するか否かは、子ども、若者、労働者、親たちの間の連携にかかっているのである。

 

2. Childcare(学校外教育)の実践に向けて

実際に子どもたちを支援する際には、学校外活動などを含むchildcareに対する要求を正確に把握するための調査が必要である。子どもたち自身と話し合い、親のニーズを確認した上で、双方のニーズが満たされなければならない。

調査の際には、以下の点について確認する必要がある。

     場所、収容人数、年齢制限、職員の数、活動計画、費用など

     提供できる活動の範囲

     管理、世話、支援の仕方

     子ども、若者、親との関わり方

     学校やカリキュラムとのリンク

      

学校外活動の運営について子どもたち自身と話し合うことは、活動を成功させるための最も有効な方法である。さらに子どもたちが実際に運営の一部を担うことによって、活動はより子どもたちのニーズに応えたものになってゆく。子どもたちが自分たちの興味を明らかにし、それらに沿って活動計画を立てる。また、活動内の規律や目標を自ら考え出し、活動環境を整えていく。子どもたち自身が、自分たちが活動を運営しているという実感を持てば、より活動に参加する意欲が湧くだろう。さらに様々な能力(協調性、責任力、自主性)を身につけることが出来る。

 

最後にいくつかの事例を見ていく。

事例1 North Westminister community School での活動

 この活動の目的は、Primary School からSecondary School へと移行する児童の遊び能力を高めることである。地元地域のボランティアや保護者、企業や生徒たちが活動の補助に入った。近くのPrimary Schoolから5年生と6年生30人を連れてきて、Secondary Schoolの7年生と8年生と一緒に遊ばせた。その際5・6年生が7・8年生と1対1のペアになって遊ぶようにした。これはSecondary Schoolへ入学したとき、友達がいるようにするためである。

 

事例2 East Londonにおける地域開発協会

 子どもたちのストレスを解消するため、また保護者が仕事をしたり再び教育や訓練を受けることを可能にするために、質の高いchildcareを行うことを独自の目標としている。活動内容は多岐にわたっており、放課後のクラブ活動はもちろん、延長保育等も行っている。

 

事例3  The Out of School Learning Project(OSL Project)

 地元の学校の教師や補助員が加わっている。活動場所が狭いので、コンピューター活動が主であるが、地元の11歳から14歳の子どもたちが宿題等を行えるスペースもある。子どもたちは皆OSLプロジェクトに参加するよう奨励されており、これまでの活動内容は活動日誌につけられている。彼らは様々な題材(絶滅種に関することから宇宙についてまで)について調べたり、読み・書き・算能力を高めることに勤しんだりしている。OSLは地元の保護者やこれを行っている学校に好評である。さらに良いことには、この学校は現在人気が高まっている。というのも、子どもたちがこの学校に行けば、彼らはOSLプロジェクトに参加できるということを保護者は知っているからである。

 

参考サイト:“Good Practice in Childcare” http://www.dfee.gov.uk/gpc1/index.htm