子供、青年のPTSDについて

教育学部2回生 0167 小川道子

1、目的

日本では阪神・淡路大震災や、数多くの犯罪によって最近クローズアップされるようになったPTSDPost Traumatic Stress Disorder)であるが、アメリカではベトナム戦争以来、その研究、治療がなされてきた。今回は子供と青年のPTSDについて、その症状、原因、治療法を明らかにすることを目的とした。

2、概要

まず、PTSDPost Traumatic Stress Disorder)とはなにか。それは戦争やテロ、事件、暴行を経験したり目撃したりした後で起こる障害である。アメリカでは、独立戦争のときから今でいうPTSDの症状が見られたようである(Da Costa’s Syndromeという名前がついていた)。また、第2次世界大戦やユダヤ人大虐殺といった悲惨な事件の後に多く見られ、ベトナム戦争後では、1988年の調査によると15%の兵士がPTSDにかかっていたという報告がされている。戦争から帰ってきた兵士がかかる病気と考えられてきたが、最近ではそうでない人でもPTSDの症状が見られることがあるということが明らかにされてきた。もちろん子供や青年も例外ではない。

PTSDに悩まされる人は、夢やフラッシュバックを通してトラウマとなっている出来事を経験したり、睡眠障害をおこしたりする。そしてそのような症状が日常的に起こるのである。PTSDはうつ、記憶や認知の問題、肉体的、精神的な問題と深くかんけいして起こる。そして社会生活や家庭生活を営むうえで必要となってくる能力を弱めてしまうのである。

PTSDの原因としては、子供たち自身が恐怖、絶望感、激しい恐れを感じるような経験をすること、もしくはそのような出来事を目撃することである。具体的には洪水といった自然災害、誘拐などの犯罪、事故、性的、身体的虐待などである。特に対人関係のトラウマ、たとえば虐待はPTSDの原因になりやすいといわれている。

どのくらいの子供がPTSDであるかについては詳しい研究報告は少ないのだが、15〜43%の少女、14〜43%の少年がトラウマ的な体験をしており、そのうち3〜15%の少女、1〜6%の少年がPTSDの症状を示していると報告されている。一般的に少年よりも少女のほうがPTSDにかかりやすいといわれている。

PTSDの危険因子となっているものはなにかというと、子供たちが経験した出来事が激しければ激しいほどPTSDの症状は重いものであるということ、家族、特に親のPTSDへの対処がよかったり親の悩みが少なければPTSDの症状のレベルは低くなるということ、トラウマとなっている出来事から時間がかなり経っている子供はPTSDの症状が軽いということから、出来事の激しさ、出来事への親の対応、出来事が時間的に近いことの3つが挙げられる。

では次に、PTSDは子供にどのようにあらわれるかについてだが、トラウマを抱えている子供は、他人に対して敵意を抱いたり、性的に不適切な行動、自己破壊的な行動が見られたり、孤独感、汚名といった感情、自尊心の乏しさ、人間不信、暴力を振るうなどが見られる。しかし年代別にそれぞれ特徴があるのでそのことにも触れておく。

1、  とても幼い子供

・隔離されたときに強く恐怖心を抱く、睡眠障害が見られる

・トイレトレーニングなどの後天的な能力発達ができない

2、  小学生

・トラウマや視覚的なフラッシュバックでの記憶喪失は経験していない

・彼らだけに見られる特徴

Time skew (トラウマとなっている記憶が呼び出されたときに、その記憶が時間的に間違った順序で配列されること)Omen formation(トラウマを予告する警告があると信じること)

3、  青年期

・始まりは大人に似ている、しかし異なる点もいくつかみられる

→トラウマによって心的外傷となっている行動を繰り返してしまう

→衝動的で攻撃的な行動が多い

最後にPTSDはどのように治療するのかというと、PTSDにかかった大人にも用いられている、認知行動療法(CBT)が子供のPTSDの治療に役立っているようだ。CBTにはexposure(子供たちがトラウマとなっている出来事をはなすことであり、日本ではエクスポージャーセラピーと呼ばれている)やリラクゼーション、自分に自信をもつトレーニング、不安を自分でコントロールする訓練などが盛り込まれている。また、プレイセラピーやEMDREye movement desensitization and reprocessing)なども有効であるとされる。

 

参考にしたサイト

http://www.ncptsd.org/index.html

一部抜粋

Post Traumatic Stress Disorder

Posttraumatic Stress Disorder (PTSD) is one of the enduring consequences of traumatic experiences. Such experiences are quite common and have been identified throughout recorded human history. PTSD can be found today across genders, cultures, and socio-economic groups.

 

Preventing or decreasing PTSD and other adverse consequences of trauma is the foremost aim of the National Center. This website is provided as an educational resource concerning PTSD and other enduring consequences of traumatic stres.