Unit 11: Judgment and Decision Making

 

 

Program Summary

 

 たとえどんなに人生が不確実であっても、我々は皆、断固として考え、行動しなければならない。我々は毎日、状況を評価し、リスクをとり、判断と決断を行う。Program11では、決断したりリスクを冒したりする心理を説明する実験に参加する機会があるので、心理学者が発見していることや、人々がよくない決断や不合理な判断をする理由がわかるだろう。

 人間の間違いや非合理性にはいくらかの説明がある。社会心理学者は群衆の影響を強調している。フロイト派は本能的な衝動や情動が我々のよりよい判断を圧倒しがちであると主張している。

 Amos Tverskey (今は亡くなっていて、生前はStanford大学にいた)Daniel Kahneman (Princeton大学にいる)は、何故どのように人々は非論理的な選択をするのかを研究してきた。非合理性は我々が概念を形成し推するのと同じ過程に基づいている、と彼らは論じてきた。だが、これらの心的方略は必ずしもすべての場合に適切であるとは限らないので、我々はよく不合理な決断をする。不確実さやあいまいさに直面して、我々は最も簡単に想起された出来事が一番起こりやすいと考えがちである。例えば、飛行機事故やハイジャックの生々しいニュースが報道されると、我々はこれらのことの起こりやすさを過大評価し、旅行を全く避けるかもしれない。

 我々は、物や出来事や人々の分類を表す原型をよく用いて、別の簡便な方法による決定をすることもある。これらの仮定では、我々はある特徴に基づいて物事を間違って分類するかもしれないので、誤った判断をしかねない。情報がどのように「フレーミングさられているか」すなわち提示されているかも、数学や地理学や政治学など実質的にどの分野における我々の意思決定にも影響しうる。

 最近、リスクを評価する技術も多くの関心を引いている。利益を追求するとき、たいていの人はリスクを避けるということを、研究者は発見している。しかし、人々は確実な損失を避けるためにもリスクを選ぶ。長期戦争は損失回避のよい例である。一方が、確実な損失を受け入れ、勝つチャンスは全くないことを認めることは、極めて難しい。だから、両方とも戦いを長引かせ、さらに多くを失うことになるのである。

(2003.11.10 堤久美子)

 

 

 

P133 How people perceive〜)

 人がどうやってリスクを知覚するかということもまた、複雑な心理学的要因「恐怖」のようなに依っているといえる。例えば、私たちは核による事故を恐れているが、信号を無視して歩道を渡ることに関しては深く考えたりしないだろう。なぜなら、核による事故が私たちにとってなじみが薄く、そしてそれ故にもしかするとより壊滅的・悲劇的に思われるのに対して、信号無視は私たちにとって身近なことであるからである。しかし、核による事故が起こる可能性は、信号無視によって事故にあう可能性のほんの一部でしかないのだ。

 心理学者は集団意思決定(group decision making)についても研究をしていて、以下のことを明らかにした。それは、意思決定は集団において変化するため、合理性はしばしば思考力とはほとんど関係がないことがわかるということである。心理学者のIrving Janisは、John F. Kennedyの内閣閣僚会議の記録を研究していたが、その会議はPigs湾への侵攻という悲惨な結論がもたらされた場であった。彼は、ゆがめられた推論の数多くの例を見つけ、それらを集団思考と名づけた。彼はまた、意思決定者が非合理的な集団意思決定を避けるために実行しうる手順の概要をあらわすこともした。

 もうひとつの新しい分野は、交渉の心理学である。それは、個人や集団、組織において、不適切な決定による負の影響を避けることを試みるものである。多くの人、とりわけ政治や企業の専門家たちが、自らの交渉技術を改善しようと努力する中で、この領域に大きな興味を示している。

 意思決定の行為によって、別の過程が動きはじめる可能性がある。心理学者は、私たちがもっている信念が矛盾する決定する際は常に「認知不協和」の状態が起こることを発見した。私たちはしばしば認知的不調和がもたらす緊張や不快感を減らそうと試みるのである。決定に対する自らの態度を変えることや、他者のその決定についての考え方を変えることによって。

 賢明で理性的な人がしばしば非合理的な結論を下し、受け入れがたいリスクをとるが、心理学の分野は私たちの行動に光を注ぎ、指針さえ与える手助けをしてくれている。私たちが道からそれる前に思いとどまるのを助けるためまた、私たちが方向を向け直そうと思ったときそれを助けるための。

 

(2003.11.10 岡部好身)