認知心理学概論Ⅱ 12月14日
文学部 心理学専攻3回生
矢追 健
集団決定
■集団決定とは
・複数の人々が合議や投票などの手段によって共通の決定を下すこと
→現実社会における集団決定の重要性ともあいまって早くから研究がなされる
グループ・ダイナミックス研究における主要なテーマのひとつ
■集団決定過程のモデル
・提唱されているモデルの共通点
:ある一定の均衡を維持し、あるいは均衡を回復する内的な力を持つ閉ざされた系として集団をとらえている
ex.相互作用仮定分析(Bales,R.F.,1950)
■集団決定の特質
・2方向からのアプローチ
1.個人の決定と比較して集団決定はより妥当かつ迅速な結論を導きうるのか?
・集団の特性を生かした生産的な集団思考のための技法:ブレーンストーミング
・集団成員の個々の能力や意見が最終的な集団決定にどのように集約・規定するのか
:確率的なモデルの構成(【参考】)
2.個人の決定と比較した時の方向性の違いは?
・集団決定は保守的なものになりやすい(Whyte,W.H.Jr,1956)
・集団決定では、成功する確率は低いが利得が大きい選択肢が選ばれる(risk taking)傾向がある(Stoner,J,A.,1961)
→個人の意見や判断が討議を通じてその傾向を強める方向に変化する集団分極化現象のひとつであると見るべき?
■集団決定の成員に対する効果
・集団討議とそれに続く集団状況での個人目標の決定は集団の標準の変化に伴って個人の変化への抵抗を弱め、
行動水準の移項をもたらす(Lewin,K.,1947)
→集団討議・集団決定の過程には多様な要因が含まれており、その方式や事前の意見の散らばりなどによって
成員に対する集団決定の効果は変動する
■参考・引用文献
・中島義明・安藤清志・子安増生・坂野雄二・繁枡算男・立花政夫・箱田祐司(編) 1999 心理学辞典 有斐閣
・藤永保・梅本堯夫・大山正(編) 1981 心理学辞典 平凡社
【参考】意思決定の方式(Smoke & Zajonc,1962)
1.個人の専断:集団の反応はある特定の個人の反応によって決定される
2.少数者の専断:集団の反応は特定の少数者の反応が一致した時に決定される
3.全員一致:全ての成員が一致した時のみ集団の反応は決定される
4.固定定数制:成員のうちn人(定数)の反応が一致した時のみ集団の反応が決定される
5.定数制:成員のうちn人以上の成員が一致した反応をすれば集団の反応は決定される
6.最少定数制:成員の中の誰か1人でもある反応を行えば集団の反応が決定される