1116日 認知心理学概論Ⅱ 問題提起 文学部3回生 飛鳥壮太

帰納的推論について

・ここのレストランのカレーライスはまずい

・ここのレストランのスパゲティはまずい  →ここの料理はまずい

 

完全帰納推論……レストランにある料理はカレーライスとスパゲティだけしかなくて

        どちらもまずいから、ここの料理はまずい

不完全帰納推論…他にも料理はあるがカレーライスとスパゲティはまずいから、ここ

        の料理はまずい

 

帰納的推論のプロセス

①事例獲得  出来るだけ多く、かつ偏りのない事例を収集する

②仮説形成  目標に合致し蓋然性の高い、有効な仮説を帰納する

③仮説検証  観察事実にもとづいて仮説を評価し、保持、修正、棄却をする

 

カテゴリーに基づく帰納的推論

         前提と結論の類似性

カレーライスがまずい(前提)→ハヤシライスがまずい(結論)

カレーライスがまずい(前提)→ハンバーグがまずい(結論)

         前提の典型性

すずめは種子骨を持つ(前提)→全ての鳥は種子骨を持つ(結論)

ニワトリは種子骨を持つ(前提)→全ての鳥は種子骨を持つ(結論)

         前提の単調性

(レストランの例に追加で)ここのレストランのオムライスはまずい(前提)

         前提の多様性

カレーライスがまずい、スパゲティがまずい(前提)→料理はまずい(結論)

カレーライスがまずい、ハヤシライスがまずい(前提)→料理はまずい(結論)

         結論の均質性

カレーライス、スパゲティがまずい(前提)→このレストランの料理はまずい(結論)

カレーライス、スパゲティがまずい(前提)→このレストラン近辺の料理はまずい(結論)

 

カテゴリーのある事例が特性を持っていることを知った時、そのカテゴリー内の他の事例も同じ特性を持っていると帰納したり、カテゴリー内の全ての事例がその特性を持っていると帰納したりする。この帰納的論証の強度は前提や結論の内容の影響を大きく受ける。それは上の例のように、前提の数であったり、その網羅範囲であったり、または事例の質(動物の体色、住民の体重、物質の伝導性)といったものである。つまり帰納的論証における一般化の確信度が背景知識の影響を受けるということである。

 

文献 楠見 孝 1996 帰納的推論と批判的思考. 市川伸一() 1996 思考(認知心理学 第4巻)(pp37-60) 東京大学出版会