Memory & Cognition
2001, 29(6), 893-902
2002.Jul.17 BBS
発表者:中西
Relational
learning with and without awareness:
Greene, A. J., Spellman, B. A., Dusek, J. A., and
Eichenbaum, H. B.
宣言的記憶(顕在記憶)
・ 意識的に想起される
・ 意味的知識やepisodicな記憶を含む
非宣言的記憶(潜在記憶)
・ 意識的に想起されずに行動に影響を与える
・ 習慣、手続き的知識、プライミングなど
この2タイプの記憶や学習は独立だと言われている
(for review, Milner, 1972; Squire & Knowlton, 1999)
ex. 前行健忘 (海馬システム(海馬体、扁桃体、海馬傍回)の損傷により新たな宣言的記憶を獲得できないが、非宣言的課題の出来はほぼ正常である)
「宣言的」と「非宣言的」の区別の特徴の一つとして、表象の柔軟性、一般化可能性の程度が挙げられる(e.g. Dienes & Berry, 1997)
・ 非宣言的記憶は比較的柔軟性に欠け、自動的で、一般化可能性に限界がある(Holyoak & Spellman, 1993)
・ 宣言的記憶は高度に組織化され、広く複雑な関係性を表象する(Clark & Squire, 1998など)。多くの情報を関連付けるほど、違う状況における情報のアクセシビリティーが高まる。
↓
神経心理学的な支持
人間の意識的な学習や記憶、人間や動物における関係学習は共に海馬システムに依存している。(Rickard & Grafman, 1998; Squire, Zola-Morgan, & Chen, 1988)
関係学習課題は複数の刺激や出来事間の関係の同時的表象を必要とする。
関係学習のタイプ
1) 複数刺激の同時発生
ex. 光と音が同時に発生した時に反応すると報酬が与えられるが、片方だけの時に反応すると罰が与えられる、というラット実験
2) 個々の学習から全体的表象への再組織化
ex. 通路統合(個別に学習した経路から新規な経路の表象を形成する)
ex. 推移的推論(個別に学習した弁別から新規な弁別について推論する)
推移的推論(TI)課題は表象的柔軟性を探るのに適している
典型的なTI課題
1) A>B、B>C、C>D、D>E という2項目弁別(前提ペア)を学習する
(”>”は「左項を選択」の意。人間にも動物にも適用される為一般的に記号化)
2) BとDのペアについて弁別させる
1)で学習したときに4つの弁別が個別に表象されたのか、全体的階層(A>B>C>D>E)が表象されたのか、どちらなのかを調べるため2)のテストを行い、ここで一貫してBを選択すれば階層的表象の(表面的)証拠となる
TI課題が要求するものは多くの宣言的記憶課題が要求するものと非常に似ている
「宣言的記憶は経験の再組織化されたサンプルから成り、それは柔軟で全体的な表象をつくる」(Cohen & Eichenbaum, 1993)
学習された随伴性への意識的気付きは関係学習にとって必要十分である(Schacter, 1998)
海馬システム依存の学習は意識的気付きを必要とし、海馬システムに依存しない学習は必要としない(Clark & Squire, 1998, 1999)
最近の研究は、海馬システム依存の学習でも気付きなしに起こるものがあるかもしれないと示唆している
Chun & Phelps (1999)
様々な背景の中のターゲットを探す課題において、背景-ターゲットの文脈促進効果は海馬システム起因の健忘症患者において消失するが、効果の現れる正常者でも背景の再認はチャンスレベル以上にはならない
Rajaram & Coslett (2000a, 2000b)
意味的に関係しているが知覚的に異なる文の間での新規単語連想のプライミングは、海馬システムによる健忘患者では消失するが、前脳基底核による同程度の健忘患者では消失しない
Schacter et al.(1995)
音声固有プライミング(聴覚的単語同定での同一音声の有利性)は海馬システムの健忘患者において消失する(音声固有プライミングは意識的な記憶方略に帰属できない)
どのタイプの課題は気付きが必要で、どのタイプは必要でないのかは、わかっていない
⇒ この問題へのアプローチの一つは、典型的な関係課題での気付きの役割を評価すること
典型的な関係課題において課題への気付きの役割とは何か?
非言語的TI課題におけるパフォーマンスと課題への気付きの関係を調べる
非言語的なTI課題がこれを調べるのに適切である理由
・ 正常なラットも海馬が使えないラットもどちらも急速に前提ペアを学習するが、正常なラットだけが推論に成功するという報告(Dusek & Eichenbaum, 1997)
・ 非言語的であるので人間と動物の結果の直接的比較ができる
・ 階層構造への気付きを評定するのに適している。言語的なTI課題では、前提ペアにて表現された関係性(より長い、より良い、など)が階層構造を形成する強い手がかりとなってしまう
多くのTI課題では被験者に刺激は階層的に組織化できると教示されていた。
この実験では、教示される群(課題開始時から気付いている)と教示されない群(偶然に気付くor気付かない)をつくる。
疑問1
刺激の階層的な構造について前もって教えられることは課題の獲得やTIの能力に影響があるのか?
疑問2
前もって教えられなかった人はTIの能力が階層構造の発見に依存するのか?
Method
Participants
41人の大学生・大学院生(ヴァージニア大学)。
院生は無償で。学部生はコース・クレジットとしてか、$7.5の報酬。
2条件(通知条件19人、非通知条件22人)にランダムに振り分けた。
Materials
刺激は平仮名から5文字選んだ。(Figure 1)
まず弁別しやすいと判断される文字を選び出し、その中で
予備調査によって最も弁別しやすいとされる5文字を採用
平仮名は15 inchカラーモニタに36 ptの
フォントサイズで提示。
Procedure
トレーニングの前に通知条件の被験者には前提ペアからTIを行う課題であることを教示。
非通知条件の被験者は繰り返しによって前提ペアを学習するとだけ教示。(Appendix A)
被験者は4つの前提ペア(A>B、B>C、C>D、D>E)を学習。
モニタに文字のペアを提示し、左ならzキー、右ならmキーを押すことによってどちらか一つ選択する。
それぞれのトレーニング・ペアで左右のどちらが正解なのかはランダム。
文字は3秒間提示、もしくは被験者が反応すると消える。
フィードバックは”correct”とディスプレイ上半部に青字で提示されるか、”incorrect”とディスプレイ下半部に赤字で提示される。
トレーニングは4ブロックにわけて行われ、一つのブロックは40試行。
ブロック1:順番に各ペア5回反復し、リスト全体で2回反復
(すなわちAB×5、BC×5、CD×5、DE×5、AB×5、BC×5、CD×5、DE×5)
ブロック2:順番に各ペア2回反復し、リスト全体で5回反復
ブロック3:順番に各ペア1試行行い、リスト全体で10回反復
ブロック4:ランダム順に各ペア10回
各ブロック終了後、それぞれのペアにてすべて正確さが80%を超えていなければ、そのブロックをもう一度やり直し。
テスト項目のペアは4つの前提ペアとBDペア、AEペア。
テストでは各ペア8回ランダム順に提示。
フィードバックは無し。
テスト後の質問紙で測定(十分な時間を与えた)。
質問紙は(BDのパフォーマンスと交絡することなく)被験者のBD課題の階層的性質への気付きを評定するようデザインされている。(Appendix B)
4人の評定者が質問紙を1から5まで評定(Appendix B)
Design
独立変数
通知or非通知のみ
従属変数
・ 各トレーニング・ブロックでの前提ペアの正解率
・ テストでの前提ペアの正解率
・ テストでの推移的ペア(BD)の正解率
・ テストでの末端ペア(AE)の正解率
・ 階層構造への気付きの評定
Result and
Discussion
気付き評定の評定者間の平均値は3.37(標準偏差1.02、中央値3.50、最頻値4.25)。
評定者間の信頼性は高く、有意に0より大きい。
( Pearson’s
multiple R = 0.616; F(3,18) = 3.67, MSe = 1.80, p < .03 )
2よりも小さな評定を受けた被験者は比較的小さな割合(22.7%)。
これらの被験者は典型的に、BDについて当てずっぽうか、刺激の順序についての明確な考えがなかった。
ほとんどの被験者(45.5%)は3から4までの得点だった。
これらの被験者は一般的に、刺激の順序についてあいまいな考えを持っていたが、順序が推移的選択の助けになるとは考えていなかった。
4以上に評定された被験者(31.7%)
彼らは刺激に順序があり、その順序が正しい推移的選択を助けると明確に説明。
前提ペアのパフォーマンスは典型的な系列位置
効果を示している(Figure 2)
→
これは動物にも人間にも見られるもの
である(for review, Wynne, 1995)
どちらの条件でも被験者は前提ペアをチャンス
レベル以上に学習した(t検定で有意)。
通知条件では非通知条件よりもより正確に学習
している。
(
反復測定の分散分析: F(1,39) =
11.15,
MSe = 0.016, p < .01 )
気付きを共変量として分散分析を行ったが、気付きと前提ペアのパフォーマンスとの関係は見出せなかった( F < 1 )。
通知条件でも非通知条件でもBDテストの得点はチャンスレベルより有意に高かった。
Informed: .98, tD(18) =
39.9, SEM = 0.012, p < .01
uninformed: .87, tD(21)
= 5.83, SEM = 0.065, p < .01
通知条件のほうが非通知条件よりもわずかに成績がよかった。
( t(39) = 1.58, SEM = 0.065,
p < .12 )
通知条件においての成績はパーフェクトよりもわずかに低い。
( t(18) = 1.60, SEM = 0.012,
one-tailed p < .07 )
⇒
通知条件と非通知条件の差が天井効果によって隠れてしまっているかもしれない。
非通知条件において推移的課題の成績が課題への気付きと相関していない。
( r(20) = 0.10, R2
= .01, tr(20) = 0.64 )
これについていくつか解釈が可能である
1)
天井効果のため気付きと課題成績の関係を検出できなかった。
→
しかし、非通知条件でのBDの成績は天井より有意に低い。
( t(21) = 1.86, SEM = 0.07,
one-tailed p < .04 )
2)
学習の進行は気付いている被験者とそうでない被験者とで異なっていたが、トレーニングの終わりにはパフォーマンスは同程度までになっていた。
4つのトレーニング・ブロックそれぞれの後に、毎回BDのパフォーマンスのテストを行った。
目的1:
正しい推論をする能力の獲得の早さは課題への気付きと対応するが、BDのパフォーマンスはトレーニングの終わりにはどの被験者も漸近的なレベルへと集中する、という可能性がある。
→ トレーニングの全体にわたってBDのパフォーマンスを評定すれば気付きとBDのパフォーマンス変化の関係が明らかになるかもしれない。
目的2:
初期のトレーニング・ブロック後のBDのパフォーマンスはよりチャンスレベルに近いだろう。
→
実験1で観察された天井効果を緩和できる。
Method
58人の被験者を実験1と同じ母集団から同じ方法で募集した。
被験者はランダムに通知条件(17人)と非通知条件(41人)に割り当てられた。
テストを各トレーニング・ブロック後に行った。
気付き評定の質問紙は実験全体の最後に1度だけ行った。
それ以外の材料、計画、手続きは実験1と同じ。
Result and
Discussion
全体的なBDの成績は実験1よりも低下することが予測され(初期のトレーニング・ブロック後のテストも含んでいるため)、実際に観察された。
( Exp.1: .93; Exp.2A:
.77; t(97) = 3.03, SEM = 0.05, p < .01 )
最終的な(ブロック4後の)BDの成績も実験1より有意ではないが低かった。
( Exp.1: .93; Exp.2A:
.85; t(97) = 1.25, SEM = 0.06, p < .21 )
→ これは反応の固執(ブロック1後の最初の選択への固執)によるものではないか。(ブロック1とブロック4のBDについて r(56) = 0.48)
すべてのブロックにおいて、BDの成績は天井より有意に低い。
t1 = 8.86, SEM = 0.04, p < .01
t2 = 4.74, SEM = 0.04, p < .01
t3 = 4.16, SEM = 0.04, p < .01
t4 = 4.07, SEM = 0.03, p < .01
天井効果を緩和できるとの期待通り、通知/非通知の主効果が有意だった。
( informed: .87;
uninformed: .73; t(56) = 2.17, SEM = 0.06, p < .02 )
⇒
通知されることでBDの成績が有意に高くなる。
実験1と同じように、非通知の被験者において、最終的な(ブロック4後の)BDの成績と気付きとの相関はなかった。( r = 0.16, R2
= .02, tr(39) = 0.98 )
気付き評定の平均値は3.79(標準偏差1.11、中央値4.00、最頻値5.00)
被験者間の信頼性は高く、0より有意に大きい
( multiple R = 0.789;
F(3,37) = 20.38, MSe = 0.06, p < .01 )
ブロック1から4のBDのパフォーマンスを繰り
返し測定とし、気付きを共変量として分析を行っ
た。(Figure 3)
トレーニング・ブロックの主効果
(B1 = 0.64, B2 = 0.73, B3 = 0.81,
B4 = 0.79;
F(1,117) = 8.61, MSe = 0.03, p < .01 )
有意な線形傾向
( F(1,39) = 12.73, MSe = 0.06, p < .01 )
気付きの主効果見られなかった
( F(1,39) = 1.02, MSe = 0.31, p = .46 )
ブロックと気付きの交互作用も有意ではなかった( F < 1 )
より気付いている被験者はBかDかの選択で心を変える頻度が少ないだろう。
→
BからD、もしくはその逆に変化した回数をカウント。
逆転の回数とBDのパフォーマンスとの相関は0と違わなかった。
( r = 0.015, R2 =
.0003, tr(39) = 0.10, p = .79 )
これらの結果をまとめると・・・
明示的に通知された被験者は推移的関係を探そうとしBDのパフォーマンスを促進するが、推移的関係の偶然的な気付きはBDのパフォーマンスとは関係ない。??
↓
教示は意識的に探索を制約するのでパフォーマンスを促進するが、(少なくとも学習初期には)偶然の気付きは課題のパフォーマンスと平行に進むので有用な制約とはならないのかも知れない。
EXPERIMENT 2B
気付きと成績との関係を帰無仮説とし、関係が無いことを対立仮説として操作をデザインすることは可能である。
BDの成績が漸近線に到達したらすぐにトレーニングを中断し、その時点で階層構造への気付きを評定すれば、気付きがパフォーマンスに先行するという考えを棄却できるだろう。
Method
41人の被験者が前の実験と同じ母集団から同じ方法で募集された。
被験者は全員非通知条件に割り当てられた。
被験者はBDの成績が7/8を超えたテストブロックの直後にトレーニングを止められ、気付きの評定を行った。(超えなければ実験2と同様に実験完了まで続いた。)
それ以外の材料、計画、手続きは実験2Aの非通知条件と同じ。
Result and
Discussion
41人のうち30人は最初のトレーニング・ブロックの後で、6人は2回目で、3人は3回目で基準に到達した。2人は到達しなかった。
最終的なBDの成績は実験2A(.79)と2B(.78)との間で差が無い(意図と一致)。
( t(80) = 0.12, SEM = 0.056 )
気付き評定の平均値は2.82(標準偏差1.47、中央値2.82、最頻値5.00)
被験者間の信頼性は高く、0より有意に大きい。
( multiple R = 0.943; F(3,37) = 85.20, MSe =
0.327, p < .01 )
BDのパフォーマンスは実験2Aと2Bで違わないが
トレーニングの中断は有意に気付きを減少させてい
る(Figure 4)。( t(80) = 3.12,
SEM = 0.29, p < .01 )
⇒ トレーニングを完了した被験者(実験2A)の
大部分は比較的気付いているが、完了していな
い被験者(実験2B)は大部分気付いていない。
エフェクト・サイズの分析では中程度の効果
(
ω2 = 0.06 )
⇒ BDの成績は同程度なのにトレーニングを完了して
いるかいないかで気付きに相当な差がある。
この気付きの差が少なくとも2つの解釈をもたらす。
1)
BDの成績が漸近線に近づいた後にもトレーニングが続けば、気付きは増えつづける。
2)
この結果がパフォーマンスと課題への気付きの分離についての追加的な証拠となる。
今回の発見と注目点
この論文の中心的な発見:
推論のパフォーマンスが階層的な構造についての知識もしくは気付きに依存しない。
しかし、
階層構造の存在を通知されることが推論ペアのパフォーマンスを改善する。(実験1)
その他の発見
・ トレーニングの前に通知されなかった被験者の多くが自分で階層構造を発見したが、相当な割合の被験者は階層構造に気付かないまま。
・ 推論ペアのパフォーマンスは、気付きのレベルに関係なく、有意にチャンスレベルより高い。
・ 実験後の気付きとBDの成績の相関は0に近い。
・ 課題構造の獲得の進行が実験後の気付きによって変わらない。(実験2A)
・ BDペアのパフォーマンスがトレーニングの第2ブロックくらいの時点で漸近レベルに到達する。
・ BDの成績が漸近レベルに達する前には、気付きが高いレベルに達しない。(2Aと2Bの比較)
・ 高いBDのパフォーマンスに要求される分以上にトレーニング量を増やすと、気付きのレベルを増加させる。(2B)
これら結論は大部分、相関データに基づいている点に注意。
実験後の気付きとBDのパフォーマンスとは必然的に従属的尺度であるので、これらの被験者内尺度は相関的分析に限られる。
しかし、気付きとパフォーマンスの間に関係がないことを提案しているので、相関的デザインにつきものである因果的方向の推論不可能性によって制限されてはいない。
いくつかの結論は帰無的発見に基づいているが、気付きとパフォーマンスを解離させることで積極的な結果を実証している。(実験2Aと2B)
全体的なまとめと示唆
1.今回の結果は、推移的関係への気付きと推移的推論のパフォーマンスとの間には必然的関係性はないことを示唆している。
この結果が興味深い理由
1)
潜在的課題が宣言的課題のような柔軟性を欠くと言われている。(e.g. Dienes
& Berry, 1997)
TI課題は関係課題であり、明らかに表象的柔軟性と組織化が必要であるので、この発見は潜在的課題が柔軟な表象に依存するというさらなる証拠となる。
2)
宣言的記憶と関係学習は機能と構造において非常に似ているが、それらは互換性のある構成概念ではない。
関係学習と意識的記憶との区別は神経心理学的発見に集中する。
いくつかの研究は海馬システム依存の課題が必然的に気付きに関係する可能性を挙げている。しかし、現在の研究は関係学習課題は海馬システムを必要とするが気付きを必要としないことを示している。
丸暗記のような課題は完全に意識的である点で宣言的であるかもしれないが、それは柔軟性や一般化可能性のような関係的特性がないことは明らか。
⇒
これらの考察は関係学習と宣言的記憶が分離しているという今回の発見へ支持的。
2.関係学習は気付きを伴うかもしれないが、随伴性の適切な組織化と気付きは異なる時間進行を辿る。
Ø 明らかに、気付きがパフォーマンスに先行するという考えは放棄しなければならない。
Ø 適切な連関を形成することが、完全な気付きの前に、それを行動で証明するのかもしれない。
3.TIは実際には高次の関係課題を構成していない?
動物におけるTIパフォーマンスを単純な連関で説明できるとする研究(e.g. Fersen,
Wynne, Delius, & Staddon, 1991)
→ 人間においても単純で非関係的なメカニズムによってTIが説明されるというのも、もっともか。
4.通知された被験者が、偶然に気付いた、もしくは気付かなかった被験者よりもパフォーマンスを向上している。
Ø 階層構造の前もった気付きが、エラーを限定し適切な方法で学習を導く制約を提供?
Ø 片や、偶然の気付きは、適切な関係が発見され、その妥当性がテストされたの後に発生するのでは?
この説明は今回観察された事と一貫しているし、
直感的な訴えがあるが、経験的精査が足りない。
パフォーマンスが偶然の気付きでは向上しない
が、課題教示によって向上するという発見は学
習における気付きの役割について多くの疑問を
投げかける。
→
さらなる研究が必要。