認知科学,11(4),340-341,2004

 

26th Annual Meeting of Cognitive Science Society(CogSci2004)会議報告  

                                                        楠見 孝                                     

 

第24回認知科学会はシカゴにおいて,2004年8月4日から7日に開催された.Conference ChairはNorthwestern大学のForbusとGentner夫妻,Chicago大のRegierであった.とくに高次認知過程に焦点を当ててプログラムが組まれていた.論文は370件の投稿があり115件が口頭発表またはシンポジウムとして採択され,150件がポスター発表として採択された.そのほか,156件のmember abstractの投稿があり,ポスター発表として採択された.日本人の筆頭著者による発表は,口頭発表は7件,ポスター発表は21件であり,院生,若手による積極的な口頭,ポスター発表が印象的であった.

シンポジウムは以下の9つ「Qualitative modelingFounders panel「言語と思考」「空間認知とジェスチャー」「神経認知科学」「概念結合」「認知におけるsocial resonace」「アブダクションと創造的推論」「大規模表象システム」が企画されていた.とくに,最後の「大規模表象システム」は, G.A.MillerがWordNet,一方,C.J.FilmoreがFrameNetについて話題提供をしたため,多くの聴衆を集めていた.

招待講演は,Goldin-Meadowの「手はいかに思考を助けるか」はジェスチャーが他者や学習に及ぼす効果についての講演であり,Medinの「Native  mind:領域固有性,文化,素朴生物学」はカテゴリの諸問題について,初心者と熟達者,そしてインディアンや中南米との文化比較をおこない,認知理論の普遍性と特殊性についての講演であった.本年度Rumelhart賞の受賞者John Andersonによる,受賞記念講演は「統合認知アーキテクチャにおける人のシンボル操作」は,ACT-R理論の最近の展開,とくにfMRIデータによる検証について焦点が当てられていた.さらに,ACT-Rに関する記念シンポジウムがあった.「身体化認知」に関するBarsalouとMarkmanによるディベートが,Markmanの弟さんのご不幸により取りやめになったのは残念なことであった.

今年の口頭発表のセッションの特徴を知るために,昨年と比較してみると新設されたものは「ジェスチャーと身体化認知」「熟達化」「比較言語研究」「因果性」「作動記憶と注意」「Cogniton in the world」「Language in the world」「創発認知」「談話」である.また,「言語」「類推」「教育」「学習」関連のセッションは従来通り多くの発表があり,聴衆を集めていた.一方,なくなった主なセッションは「哲学」「図的推論」などであった.

なお,チュートリアルセッションとしては,初日に5つ「統合的認知アーキテクチャに向けて」「CHREST」「ACT-R」「COGNET」「帰納推論のベイズモデル」あり,とくに,「ベイズモデル」は多くの参加者を集めていた.また,8月1日から4日までは同じ場所で第14回テキストと談話学会年次大会http://www.societyfortextanddiscourse.org/conferences/current.htmlが開催されていた.

昨年から,ProceeedingsはCD-ROMだけになった(1700ページ).口頭発表などの時に手元に論文があることを望む人は,事前に大会のウェブページ(今回はhttp://www.cogsci.northwestern.edu/cogsci2004/)から関心のある論文のPDFファイルをダウンロードしておくことが必要である.

なお,2005年の大会は7 21-24日にイタリア北部の保養地Stresaで開催される.