複雑さを増す現代社会において、さまざまな問題や悩みをもつ人も増えてきて、そのような人々が心理療法を求めることも多くなっている。ここでは心理的な見立てや心理療法を実施するための教育・訓練が様々な実習も含めて、基礎から行われている。それと同時に、多様な心理的問題の背景を考え、心理療法の技法を発展させるための実証的・理論的な研究を行っている。

桑原 知子(くわばら ともこ)教授

心理臨床学:心理療法と「もう一人の私」

博士論文のテーマは「人格の二面性について」。その後も「もう一人の私」をテーマとして研究を続けている(『もう一人の私』創元社)。また、学校現場におけるカウンセリング(『教室で生かすカウンセリング・アプローチ』日本評論社)や、家庭裁判所調査官との共同研究(『家裁調査官レポート』日本評論社)など、心理療法を広い視野からとらえ、かつ、その本質を深く追求することを目的として、研究、実践を行っている。

河合 俊雄(かわい としお)こころの未来研究センター教授

心理臨床学:心理療法の哲学的・理論的検討及びユング心理学の深化

心理療法で前提となり、自明となっている概念や理論の批判的検討を行い、それを通じて心理療法を深める(『概念の心理療法』日本評論社)。また心理療法自体を、歴史的、思想史コンテクストの中での位置づける。夢分析を主なテーマとしつつ、イメージを実体化せず、弁証法的で動きを持ったものとして捉えていきたい(『心理臨床の理論』岩波書店)。

田中 康裕(たなか やすひろ)准教授

心理臨床学:ユング心理学に基づく心理療法における治癒とその限界

神経症の心理療法が主たるテーマ。神経症を単に修復すべき「対象」としてではなく、心理学それ自体を創り出すひとつの「主体」として捉える。また、それと並行するかたちで、個人心理療法の実践を通して、夢や箱庭、描画等のイメージを用いた心理療法の治癒要因、さらには、そこに必然的に包含される限界についても検討を深めてゆきたい。

立木 康介(ついき こうすけ)人文科学研究所准教授

心理臨床学:ラカン派精神分析

精神分析にとって本質的な問いは、ラカンによれば、たったひとつに要約できる――意味と現実的なものはいかにつながりうるのか、と。現実界は象徴界の不可能であるというラカンの定義からすればひとつの逆説にも見えるこの「つながり」は、臨床においていかなる形で出会われるのだろうか。症状、幻想、欲動の水準で考えたい。

田附 紘平(たづけ こうへい)特定助教

 心理臨床学:クライエントとセラピストの関係性に関する研究

心理療法という二者関係を基盤とした営みにおいて迫真性をもって体験されることについて、発達の視点から理解を深めようとしている。また、学校現場での心理療法にも関心をもっており、実践・研究を行っている。

皆本 麻実(みなもと あさみ)特定助教

 心理臨床学講座:心理療法における遊び、プレイセラピー

子どものプレイセラピーや成人への心理療法において「遊び (playfulness)」がもたらす治療的意義について、臨床実践を通じて追求している。