臨床教育学講座は、既設の二つの小講座(教育人間学講座と臨床教育学講座)を統合するかたちで1998年に再編成された、我が国では数少ない名称の講座である。わたしたちは、その名乗りにふさわしい新しい教育研究スタイルの創造を目指して、理論的臨床的な課題に取り組んでいる。

矢野 智司(やの さとじ)教授

教育人間学:生成の教育人間学

現代思想・人間諸科学の成果をもとにしながら、学習や遊戯、贈与や供犠といった、人間の変容や生成における創造的あるいは病理的事象から、「人間とは何か」を考察し、さらに翻って、人間についての反省から「教育とは何か」を根本的に捉え直すことを目指している。詳細は、拙著『ソクラテスのダブル・バインド』(世織書房)、『自己変容という物語』(金子書房)、『動物絵本をめぐる冒険』(勁草書房)、『意味が躍動する生とは何か』(世織書房)、『贈与と交換の教育学』(東京大学出版会)、『幼児理解の現象学』(萌文書林)を参照。

西平 直(にしひら ただし)教授

臨床教育学:教育人間学・死生学・東洋思想

思想研究による教育人間学。テーマは、①ライフサイクル(人間形成・人格変容・ライフヒストリー)、②アイデンティティとスピリチュアリティ(自己・実存・内面性)、③ケア(相互性・ジェネラティヴィティ)。詳細は以下の著書をご覧ください。『教育人間学のために』(東京大学出版会)、『ケア講座・第三巻・ケアと人間』(編著、ミネルヴァ書房)、『エリクソンの人間学』(東京大学出版会)、『生涯発達とライフサイクル』(共著、東京大学出版会)、『魂のライフサイクル-ユング・ウィルバー・シュタイナー』(東京大学出版会)、『シリーズ死生学、第三巻・死とライフサイクル』(共編、東京大学出版会)、『誕生のインファンティア-生まれてきた不思議・死んでゆく不思議・生まれてこなかった不思議』(みすず書房)、『世阿弥の稽古哲学』(東京大学出版会)、『無心のダイナミズム』(岩波現代全書)など。

齋藤 直子(さいとう なおこ)准教授

教育人間学:アメリカの教育哲学

プラグマティズムとアメリカ超越主義を中心としたアメリカ哲学の現代的意義を、「翻訳としての哲学」および「生き方としての民主主義」という観点から再評価し、たゆみなき自己と文化の完成を目指す「おとなの教育としての哲学」を提言することが研究課題である。国際プロジェクト「翻訳としての哲学と他文化理解:双方向的国際化に向けた哲学と教育の学際研究」を通じて、欧米の哲学者、教育哲学者との国際交流をフィールドに活動している。著書The Gleam of Light: Moral Perfectionism and Education in Dewey and Emerson( 2005)『;〈内なる光〉と教育-プラグマティズムの再構築』(2009年)。共編著(with Paul Standish)Stanley Cavell and the Education of Grownups( 2012);Education and the Kyoto School of Philosophy: Pedagogy for Human Transformation (2012)。訳書スタンリー・カベル著『センス・オブ・ウォールデン』(2005年)、ポール・スタンディッシュ著『自己を超えて:ウィトゲンシュタイン、ハイデガー、レヴィナスと言語の限界』(2012年)

Homepage: http://nsaito.educ.kyoto-u.ac.jp

Jeremy RAPPLEYE(ラプリー ジェルミー)准教授

 教育人間学:比較教育、教育社会学、教育哲学

世界の教育学研究は、西洋(とくにアメリカ、イギリス、ドイツ)の「進んだ」研究パラダイムにほとんど支配されていると言ってよい。
こうした中で、新たなパラダイムを提案していくためには、西洋とは異なる伝統、歴史下での事例を見つけ出し、考究し、そして、その事例と対話をすることが必要である。その際、哲学的、社会学的、教育学的側面を個別に考慮するのではなく、それらを統一的に理解することが欠かせない。私はとくに、西洋とは異なる伝統、歴史下(とくに日本)で発展してきた理論・事例を研究している。また、それらの理論・事例を、別の国に適用することの可能性と限界についても考察している。最近の代表的な学術論文は、次のとおりである。「輸入した時間を生きる-時間、自己、ニヒリズム、学校教育」(Comparative Education、2016年掲載、小松光との共著)、「PISAパラドックス-PISAスコアの国間差を説明する新しい理論」(Comparative Education Review、2017年掲載予定、小松光との共著)、「日本の教育を再考する」(Oxford Studies in Comparative Education、2011年出版、David Blake Willisとの共著)

朱 燁(シュ ヨウ)助教

 

 

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